クラウド会計「使ってみた」(3) MFクラウド確定申告はAIが助けてくれる
さあ、AIはすぐに学習してくれたのでしょうか。「取り込まれている取引明細には、ほかにもA社からの振り込みがあります。これらも今、全部変わったのですか」とたずねると、柏木さんは「ちょっとやってみてください」と促しました。 一覧表を下にスクロールすると、A社の別の勘定項目は「売掛金」のままでした。柏木さんは「売掛金のままですね」と少し残念そうです。次回以降の取り込みでは反映されるのでしょう。 青色申告に向けた会計処理を1年経験してわかったのですが、A社からの振り込みは「売上高」、B社への支払いは「新聞図書費」など、取引先と勘定科目の組み合わせのパターンはほぼ決まっています。 「MFクラウド確定申告」なら、取引の登録を行うたびにAIが学習して推測精度が向上しますので、使えば使うほど作業のスピードがアップしそうです。
領収書の手入力は「簡単入力」で
筆者が持参した領収書の束を見て、「やばいですね」と苦笑した柏木さん。「当社の場合、現時点で領収書の画像を取り込んで登録する機能は提供していません」と説明する一方で、グループ会社のクラビスが提供する「STREAMED」というサービスを紹介してくれました。 このサービスは、領収書のほか、請求書、通帳、カード明細などのスマホで撮影した画像を同社サイトにアップロードすると、担当オペレーターが読み取って1営業日以内にデータ化してくれます。OCRでは読み取りが難しい手書き書類のデータ化にも対応するそうです。 「MFクラウド確定申告」とは別に利用料金が必要ですが、初回10枚、毎月5枚まで自動でデータ化してくれる無料のコースもあります。手書きの領収書が多い場合は導入を検討しても良いかもしれない、と思いました。なお、この「STREAMED」が作成したデータは、他社の会計ソフトでも活用可能です。 「STREAMED」を利用しない場合、「MFクラウド確定申告」での領収書登録は、手入力になります。ホーム画面の左側のメニューにある「手動で仕訳」のなかでも、文字通り簡単に入力できそうな「簡単入力」を選んで実際に作業してみました。 画面には、左から右に「取引の種類を選択」「取引の内容・金額を選択」「日付を選択」「摘要、タグを入力し、登録を選択」という順で記入欄が並んでいます。 「取引の種類を選択」では、収入か支出かという、お金の出入りを選択する形式を採用していました。借方・貸方を意識しなくても取引を登録できるのは、会計知識の乏しい筆者にとっては楽に感じました。カレンダーから取引日を選ぶ「日付を選択」も使いやすいと思います。ただ、「取引の内容・金額を選択」では、勘定科目についての知識が必要です。 「簡単入力」のほか、借方・貸方それぞれの勘定科目と金額を記入する「振替伝票入力」の選択も可能です。