ファッション小売 の未来は「コミュニティ重視のコンセプトストア」か?:Luxury Briefing
定期的にイベントを開催する地元密着型の小売空間
ザ・デンを自己資金で立ち上げ、10年間のリース契約を結んだコーエン氏も、全体的に売上と認知度が高まっていると報告している。コメディショウやアートギャラリーナイト、ブランドのポップアップなど、定期的に開催されるイベントが役立っているようだ。ザ・デンがマーサーストリートの一等地に位置していることに加えて、テナントのソーシャルアカウントが店舗へのトラフィックの促進に有効だった。シェアポイントは最近さらなるサポートを提供すべく、ソーシャルメディアマネージャーを雇用した。 コーエン氏によると、観光客の店内滞在時間は通常30分から1時間であるのに対し、地元の人々は下層階やコーヒーショップをワークスペースとして利用しながら最長5時間滞在するいう。今後は、ザ・デンをコワーキングスペースとして利用したり、ラウンジをイベント用に借りたりすることに興味のある企業向けに、店舗全体で割引を受けられるようなロイヤルティプログラムの開始も計画している。さらに、コンセプトストアのプランニングやブランドとの提携をサポートするため、ブランドと競合せずに互換性のあるビジネスをマッチングするソフトウェアを構築中だ。
コミュニティを活性化する場としての店舗
ザ・デンは、コミュニティを活性化する店舗というコーエン氏のビジョンの最初のイテレーションにすぎない。次は、今年後半にニューヨークのウェストヴィレッジにウェルネスのハブをオープンさせたいと同氏は考えている。コーエン氏が思い描いているのは、カフェ、栄養士、ジム用品の小売店、フェイシャルスパを備えた隠れ家的なピラティススタジオだ。ザ・デンはメンズとウィメンズの両方のオプションを提供しているため、ニューヨークにメンズとウィメンズ専用の店舗をオープンさせたいと同氏は考えている。そして、その成功に基づき、同じブランドで米国中の都市において同じ体験を再現したいとも思っている。ロサンゼルス、マイアミ、シカゴ、テキサスの一等地を狙っており、3年から5年後にはニューヨーク以外にも進出することを目標にしている。 バンクーバーを拠点とするターフ(Turf)も同様のコンセプトで、ウェルネス層をターゲットにフィットネスクラス、レストラン、ショッピングを提供している。このスペースはルルレモン(Lululemon)のOBのディアンとディレイニー・シュバイツァー夫妻が2017年にオープンした。創業者夫妻によると、夏にはアクティブなスイムウェアブランドのレフト オン フライデー(Left On Friday)が200平方フィート(18.6平方メートル)のポップアップショップをターフで開催し、4カ月足らずで20万ドル(約2905万円)を売り上げている。「我々のターゲット顧客は、毎日あのスペースに出入りしている」とディレイニー・シュバイツァー氏は12月にGlossyに語っている。 [原文:Luxury Briefing: Are community-based concept stores the future of fashion retail?] JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)
編集部