ファッション小売 の未来は「コミュニティ重視のコンセプトストア」か?:Luxury Briefing
リスクの少ない出店
ブラックパリのゼネラルマネージャー、リチャード・マーシャル氏によれば、ザ・デンで買い物をする多くは18歳から40歳までのニューヨーカーの男性客だという。昼間は金融関係の仕事をしているが、夜はミニマルで上質なアイテムで「クールに」装うことを好む。「いまニューヨークのソーホーハウス(Soho House)で私たちの商品を着ている人々がいると聞いている」とマーシャル氏は言う。 ブラックパリのザ・デンへの出店は、マーシャル氏いわく、ブランドの顧客基盤の半数を占めるのが米国を拠点とするeコマースの買い物客であるという事実を踏まえ、米国進出の野心的な計画への「かなりリスクの少ない」キックオフとなった。ザ・デンがオープンした2カ月後、ブラックパリはサンノゼにあるモールのウェストフィールド・バレーフェア(Westfield Valley Fair)に、小売サービスプラットフォームのリープ(Leap)を通じて単独店舗をオープンした。マーシャル氏によると、長期的な目標は資金を活用して「全米のすべてのショッピングモールに」出店することだ。創業7年の同社は現在、共同創業者でデザイナーのジュリアン・オハヨン氏が所有している。小売パートナーと組み、2021年にはアジアに10店舗をオープンした。 「ヨーロッパ人は米国人やアジア人のようには購入しない」とマーシャル氏は言う。「米国では、ショッピングモールや大通りに店舗を構える(ことで利益を得る)。米国人は夜や週末にショッピングを楽しんでいる」。 ザ・デンを通じて、ブラックパリは、いまのところ毎月3桁の売上成長を遂げている。ブラックパリのチームは、開店前の1年から1年3カ月のあいだ、コーエン氏と協働して立地や共同テナントとのブランドの整合性を確認し、マーチャンダイジングの方向性を提供、「顧客体験が希薄にならないようにした」とマーシャル氏は語る。他のテナントとも連絡を取り合い、ブラックパリが雇用する選択肢のあった店舗スタッフとのZoomには定期的に参加したという。「自分たちがこのチームの一員だと感じているし、それこそ我々が求めていたことだ」。