バイメタルより軽く…岡山大学が開発、「熱で変形するフィルム材料」の実力
岡山大学の山口大介助教は、ポリイミドを貼り合わせ、熱で変形するフィルム材料を開発した。熱膨張係数の差を利用してバイメタルのように曲げ伸ばしする。バイメタルよりも軽く、変形量が大きい。配線が可能なため小型カメラを載せたフィルム内視鏡を作れる。半導体産業には熱による変形を打ち消す、形状保持技術として提案していく。 異なる熱膨張係数のポリイミドフィルムを重ねて加熱し圧力をかけて接着する。ポリイミドは加熱すると溶ける前に炭化する課題があったが、積層フィルムとして接着する条件を確立した。厚みは2層で50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と薄く軽い。 片方のフィルムには微細な凹凸パターンを成形する。パターン成形で、成形しない場合の300倍以上の変形量が得られた。巻かれていたフィルムを加熱すると伸びたり、反対に平らなフィルムが巻かれたりと、バイメタルのように変形する。 ポリイミドフィルムに導電層を設ければ電気接点として機能する。周囲の温度に応じて変形して電極と接触して通電すると、温度センサーやサーモスタットとして活用できる。 また導電層に電気を流せば発熱して変形する。昆虫ロボットのように小さなアクチュエーターとして利用できる。実験では数グラムの小型カメラを持ち上げられた。生体内で展開されるフィルム内視鏡の研究を進める。 特許は出願した。変形量はフィルムの厚みや凹凸パターン、ポリイミドの種類で変わる。用途ごとに必要な変形量や支持重量が変わるため、産学連携でユーザーと作り込む。