はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文1)13日にリュウグウから離脱
近傍フェーズでの運用は全て完遂
工学目標1、ミニマムサクセス。これはもう文句なしですね。イオンエンジンを用いた深宇宙推進で対象天体に到着したのは、これはもうすでにリュウグウに到着するところで達成できています。フルサクセスについては、探査ロボットを小惑星表面に降ろしましたし、小惑星表面のサンプルを採取するということも、これも成功いたしました。 次に工学目標2ですが、ミニマムサクセスとしては衝突体を対象天体に衝突させるシステムを構築し、これは衝突装置のことですね、で、衝突させることができた。かつ特定した領域に衝突体を衝突させたということでミニマムもフルも達成しております。それからエクストラの項目、これは第2回のタッチダウンのことですね。衝突により表面に露出した小惑星の地下物質のサンプルを採取することもできております。 以上によって近傍フェーズでリュウグウに対して行なう運用は全て完遂したというふうに考えております。残された項目は帰還に関するもの、それからもっと深い、総合的なリュウグウに関する考察、こういうものがこれから先どんどん疑問がさらに増えていくという形になったと思いますので、これは鋭意進めていきたいと思っております。私からは以上になります。
サイエンスの成果についてのまとめ
吉川:では10ページのほうをご説明いたします。今の説明にあった、特にサイエンスの成果についてのまとめで、ここはプロジェクトサイエンティストの渡邊先生にまとめていただいたのですが、渡邊先生、今日は別件でご出張中ということなので、私のほうで代読をしながら簡単にコメントをしたいと思います。 まず去年の7月、8月と書いてありますが、初期観測でBOX-A、Cと、中高度、重力計測と、いずれも観測どんどん進めていって成功しております。そもそも去年の6月に到着をして、リュウグウの形が、いわゆるこま形であると。日本語で言う場合にはそろばんの玉形であるということ自体が、これは世界で初めてのこま形小惑星の探査になったわけですね。 これは、数カ月遅れてアメリカのOSIRIS-RExもベヌーという小惑星に到着をして、それもこま形だったわけですけれど、日本の「はやぶさ2」のほうが、これは事前には分かっていなかったことですけれども、世界初のこま形小惑星探査を始めたということになります。その後BOX-B観測と、2つ目のぽちですけれども、これは探査機の位置を、南北、あるいは東西に移動させて、極ですね、南極、北極とか明け方、夕方を観測すると。これも成功しております。3つ目、BOX-C観測、さらに降下をして、これ合計7回、一番最初に行なったものと、そのあと現在まで7回のBOX-C観測というのを行なっていまして、データを得ております。これらのいずれも、観測機器としてはONC、TIR、NIRS3とLIDARということで、4つのリモセン機器、全て順調に働きまして、データを取ることができたということになります。 さらにタッチダウンですけれども、そのためのリハーサルも何回か行っていますし、タッチダウンの前のローバー、ランダーの分離運用でも低高度の観測を行っております。1回目のタッチダウンが2月22日、さらにその後、クレーターをつくるための降下運用というのを連続して何度も行っていて、低高度でのデータも十分に取得できたということになります。もちろん1回目と2回目のタッチダウンで、CAM-Hによって表面の様子も今回撮影できておりますので、科学的な分析を現在進めているという状況です。あとはサンプルですが、これはわれわれサンプルを採れたものと思っていますけれども、実際にはカプセルが地球に戻ってから確認をするということになります。