はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文1)13日にリュウグウから離脱
小惑星近傍運用フェーズから帰還フェーズに移行
津田:では次のページからは津田のほうからご説明いたします。まずリュウグウ出発についてということで、「はやぶさ2」、この1年半ずっと科学観測をリュウグウで行ってきて、それから着陸、クレーターを生成、それからロボットを小惑星に展開させる、こういうことを全て計画どおり実行できた、実施できたというふうに確認ができましたので、あした、11月13日、日本時間、資料には10時と書いてありますが、10時05分に小惑星からの離脱を行います。この時刻をもって小惑星近傍運用フェーズ、今まで「はやぶさ2」はやっておりましたが、これを帰還フェーズに移行するということになります。 この判断条件ですが、出発の前提条件として2つございまして、まず科学です。科学成果が全て、リュウグウで、リュウグウ近傍フェーズで行うべき科学、それによって得られた科学データに不足がない、問題ないということが確認できたということと、2番目として出発準備が整っていること。これをプロジェクト内で確認いたしました。離脱の方法ですけれども、現在「はやぶさ2」は高度20キロメートルのホームポジションにおりますが、RCSスラスターを使います。秒速約10センチメートルと、非常に小さい加速量ですけれども、これで小惑星から遠ざかる方向に噴射を行います。で、移動を開始します。
11月19日から12月2日までイオンエンジンの試運転
その後、ずっとリュウグウのほうを向き続けながら、5日間ほどは、ちょっとこれ、われわれも名残惜しいので、お別れ観測と称しましてリュウグウを観測しながら離れていきます。5日後に姿勢を変更して、これ以降はリュウグウを見ることができなくなるという状態になります。その後なんですけれども11月19日から12月2日の間で、イオンエンジンの試運転を行います。これは帰還フェーズに移行したあと、本格的にイオンエンジンを噴くことになるんですけれども、それに先立って、1年半、イオンエンジン動かしていない状態ですので、これの性能をよく見て必要であればチューニングを行って、万全の態勢で12月3日以降のイオンエンジンの巡航運用を迎えるための準備という位置付けです。 幸いにして科学成果が十分、想定の中では早い時期に得られたということが確認できましたので、これは帰還フェーズをきちんと実行するという意味で、想定していた中では少し早めの帰還を決断いたしましたが、結果として2週間ほどイオンエンジンの試運転の時間というのが当てられているということになっております。 次のページにまいりまして、これが出発のところの具体的なシーケンスをポンチ絵で表現したものです。左にリュウグウがあって、リュウグウと地球を結ぶラインを点線で描いています。ポイントできますかね。無理か。そっちで、じゃあ。向こうで。ちょっと、じゃあ画面で説明させていただきます。リュウグウがありまして、このラインがリュウグウと地球を結ぶラインになります。「はやぶさ2」は今高度20キロメートルにいます。あした、ここからスラスター噴射によってリュウグウ離脱を行います。真っすぐ上昇していきます。上昇していく間、ONCと書いてありますが、搭載のカメラを使ってリュウグウを撮影しながら上昇していくということになります。 最終的には、ここでは目安としてリュウグウのヒル圏って書いてありますが、これはリュウグウの重力の及ぶ範囲です。これがおおよそ65キロメートルでして、これを越えるのが11月18日ごろです。越えた辺りで探査機の姿勢を観測姿勢から太陽指向姿勢に変えます。これは、太陽電池が真っすぐ太陽方向を向く、これによって「はやぶさ2」は最大の電力を得られる姿勢になります。この状態でイオンエンジンの運転試験を開始するということになります。