はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文1)13日にリュウグウから離脱
12月3日以降、イオンエンジンの巡航を開始
イオンエンジンの運転を開始すると、もちろん軌道はずれていきますし、姿勢もこの時点でずれますので、リュウグウはもうこの時点で見えなくなります。つまりここが本当に、われわれにとっても皆さまにとってもリュウグウの見納めということになります。このあと2週間ほどイオンエンジンの性能確認と調整を行います。最終的に12月3日以降ですね、以降に帰還フェーズのイオンエンジンの巡航を開始するという、こういうシーケンスを取ろうとしています。 その次のページ、ここまで私のほうでご説明させていただきます。この近傍フェーズで1年半やってきたものを、ここで完了させるに当たって、われわれが判断基準としたものがこのテーブルに書いてございます。これは打ち上げ前から時々お見せしていた表ではありますが、「はやぶさ2」としてはこれが、表の記載があるところが全てグリーンになることでミッション成功であるというふうに申し上げてきました。 すいません、難易度の順番にミニマムサクセス、フルサクセス、エクストラサクセスとなってございます。エクストラサクセスはリュウグウの状況にもよるので、達成できるかどうかは必ずしも約束されたものではないですが、それでもできたらいいという意味で掲げたのがエクストラサクセスになります。
小惑星の内部構造の知見獲得などの目標を達成
リュウグウにいる間、リュウグウを離脱する前までに達成しなきゃいけないとわれわれが考えていたのが赤い枠の部分です。こうして見ていただくと、赤い部分を全て色が塗られているということがご覧いただけるかと思います。例えば一番上、ミニマムサクセスの項目の理学目標1から書いてあることを申し上げると、小惑星近傍からの観測により、C型小惑星の表面物質に関する新たな知見を得る。これについては十分観測が行なわれたということと、観測結果に基づいた論文もすでに『Science』誌とか、そういう大きな論文も含めて成果がまとまったという状態なのでグリーンになっています、そういう読み方をします。 その次のミニマムサクセスの理学目標2ですと、小惑星近傍からの観測により、小惑星の内部構造に関する知見を得る。これについても最初に出た、4月ごろ出たわれわれの『Science』誌の論文にも記載がございますが、小惑星の形状が、これはまったくわれわれにとって意外なトップシェイプ、こま形の形状だったということから始まって、内部構造に関する考察も含んでおります。 これは先ほどの吉川の【(音飛び) 00:12:03】電波ですね。吉川からご説明のあった、アリゾナでの会議、ここでも活発に議論がされたものです。 その右側にフルサクセスとエクストラサクセス、オレンジの部分があります。これは達成見込みなんですけれども、正式には、かなりわれわれのサイエンスチームのメンバーが厳格なところがありまして、観測としては十分データを得られたと。ただ、これはきちんと論文になって、成果として形に残るまではこれで満足といってはいかんというふうな意見がありまして、それでここはオレンジという形にしていますか、2つのミッション、探査機としてはやることは終えています。あとはこの成果をまとめるというところが残っているので見込みという形にさせていただいています。 オレンジはいずれも小惑星のクレーター生成に関する部分です。クレーター生成に関する部分の科学成果、論文成果という形でまとまりましたらここはグリーンになる予定です。そのエクストラサクセスの1個だけ探査ロボットの項がありますが、これはMASCOTが十分に成果を挙げてくれましたし、MINERVA-II1、それからII2も重力サイエンスに貢献するということができましたので、これは十分エクストラということでグリーンになっています。