「顔缶」の「ポッカコーヒー」に好機到来 缶コーヒー定番の味わいに多数の「甘くて癒される」の声 若年層獲得の可能性も浮上
ポッカサッポロフード&ビバレッジ(当時・ポッカコーポレーション)が1972年(昭和47年)に発売開始した「ポッカコーヒー」に若年層獲得などの好機が訪れる。 【写真】1代目から15代目まで歴代の「ポッカコーヒー」 同社はこの好機を捉え「ポッカコーヒー」ブランドを活性化させるべく同ブランドを刷新。 ブランドを“ココロ癒されるコーヒー”と再定義し、休息や休憩のくつろぎに寄り添う存在へと進化させる。 この方針のもと9月9日に「顔缶」の愛称で親しまれている「ポッカコーヒーオリジナル」(以下、顔缶)をはじめとする既存5品をリニューアル発売し「ポッカコーヒーひとやすみプレッソ」を新発売する。
9月4日、発表したマーケティング本部ブランドマネジメント部の枝久保誠氏は、旗艦アイテムである「顔缶」のイメージの変化に勝算を見込む。 「(顔缶のイメージについて)数年前にリサーチしたところ“定番的”とポジティブだが、個性がないといった部分も出てしまった。一方、昨年・一昨年とSNSで顔缶を飲まれた方の発話を調べたところ“甘くて癒される”との発話が多数見受けられた」と語る。 若年層を取り込める可能性も浮上。 「年齢までは把握できなかったが、発話とともに写真をみると、若い方も発信して下さっているのが見て取れて、“甘くて癒される”といったところが『ポッカコーヒー』の特徴だと考えた。“もっと頑張ろう”とか働く人の背中を押す缶コーヒーが多くある中で“ちょっと休もうよ”といったベネフィットを前面に押し出した」との見方を示す。
新商品「ひとやすみプレッソ」は、“甘くて癒される”と再定義したブランドの象徴として開発された。 中身は「顔缶」の特徴である甘さをベースに、一部エスプレッソ抽出を使用して、ほろ苦さと砂糖の甘さによるコクが味わえるように仕立てた。 “ひとやすみ専用”商品と位置付けパッケージには癒しの象徴として猫をデザインした。 ターゲットについては「『ポッカコーヒー』は40~60代のお客様が多いが『ひとやすみプレッソ』のターゲットは30代。ワークライフバランスの点から“ひとやすみ”というベネフィットはどちらかというと若年層の方に受け入れていただけるとの仮説を持っている」と説明する。 顔缶と「厳選微糖」はパッケージを刷新。 「中身は現行品でご評価いただいているため変えずに、2品並べたときに統一感が出るようにして顔のデザインを現行品よりも柔らかい感じにして少しでも癒しにつながるようにした」という。 「ポッカコーヒー」は、旧ポッカコーポレーション創業者・谷田利景(たにだとしかげ)氏のひらめきにより開発された。 谷田氏が1963年に開通したばかりの名神高速道路を車で大阪に向かっていた途中、運転手が眠気を覚え「コーヒーが飲みたい」と発したのを耳にし、養老サービスエリアに立ち寄ったところ店には長い行列ができコーヒー1杯飲むのに30分も要したという。 その時、谷田氏がふと車外を見ると、寒さに耐えながら冷たい瓶飲料を口にするトラックドライバーが多くいたことから「車の中で飲める缶入りコーヒーを作り、夏は冷やして冬は温めて売ろう」と閃いたとのエピソードが知られている。 1972年に缶コーヒー「ポッカコーヒー」が発売され、谷田氏の思いに共感した三共電器(現サンデン)が自販機を開発して、1973年にホットorコールド自販機による販売、1977年にホット&コールド自販機による販売を実現した。