10月登場「はなあかり」に、新型「やくも」と「ウエストエクスプレス銀河」の秘話も JR西日本の人気列車を手がける建築家・川西康之氏インタビュー『鉄道なにコレ!?』【第67回】
JR西日本が敦賀(福井県敦賀市)―城崎温泉(兵庫県豊岡市)間で10月5日に運行を始める観光列車「はなあかり」。そのデザインを手がけたのが、4月に岡山―出雲市(島根県)間で営業運転を始めた特急「やくも」の新型車両273系や長距離列車「ウエストエクスプレス銀河」などを数々の人気列車を生み出している建築家の川西康之氏だ。ゆったりした車内空間となった「はなあかり」のデザインに込めた思いを尋ねると、新型「やくも」の開発過程、「ウエストエクスプレス銀河」に使用した117系の改造秘話も明かしてくれた。(共同通信=大塚圭一郎) 【写真】金沢発最終のサンダーバードに乗ったら…粋な車内アナウンスに涙腺がゆるんだ 北陸新幹線延伸開業に伴い、金沢―敦賀間から姿を消した在来線特急
※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。 【川西康之(かわにし・やすゆき)氏】鉄道デザインなどを手がける一級建築士事務所「イチバンセン」代表取締役。1976年、奈良県川西町生まれ。千葉大学大学院博士前期課程修了。オランダの建築事務所、フランス国有鉄道交通拠点整備研究所で勤務後、イチバンセンを開設。JR西日本の車両のデザインのほか、鉄道友の会の「ローレル賞」を2017年に受けたえちごトキめき鉄道(新潟県)の観光列車「えちごときめきリゾート雪月花(せつげっか)」の開発、土佐くろしお鉄道中村駅(高知県四万十市)のリノベーションなどにも携わった。工学院大学非常勤講師、グッドデザイン賞審査員も務める。 ▽「鉄道会社と地域をつなぐ受け皿」 大型観光企画「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせてJR西日本が今年10月5日に運転を始める「はなあかり」は、特急「はまかぜ」(大阪―鳥取間など)に使っている3両編成のディーゼル車両キハ189系を改造。車体は黒褐色をベースに金色の花柄で装飾した。車内には、出雲たたら製鉄の一輪挿しや京織物の座布団など、地域の伝統技術が生かされたとっておきの逸品が配置される。「西日本のさまざまな地域のとっておきにあかりを灯し、地域を明るくする列車になること」などを願って命名された。