【40代・50代が知っておきたい美容の疑問】顔のたるみの隠れた重大原因「顔面の骨やせ」とは?
年齢を重ねるにつれ、気になってくるさまざまな美容についての疑問に皮膚科医が答える連載。今回は、加齢に伴って顔がたるむ大きな原因といわれる、「顔面の骨やせ」について、そのメカニズムや対策を、皮膚科専門医の慶田朋子先生に教えてもらった。さっそくチェックして、今から骨やせ対策を。
加齢とともに顔がたるむのは、筋肉、脂肪、靱帯、骨と複数の原因が
年齢を重ねるにつれ、誰しも顔がたるみやすくなってくるものだが、その原因には、「顔面の骨やせ」が関係しているとか。まずは、加齢によって顔がたるむメカニズムについて慶田朋子先生に伺った。 「加齢とともに顔がたるんでいく原因は、いくつかあります。大きな要因はコラーゲンなど構造を支える成分の劣化による垂れ下がりです。加齢や光老化などの影響で、肌のハリを保つ役割のある真皮のコラーゲンやエラスチンが劣化・減少していくと、表面的なハリが失われていきます。 加齢に伴って顔の脂肪も萎縮してボリュームが減っていくうえ、脂肪を包むコラーゲンの被膜が伸びてスフレのようにふわふわしてきます。さらに脂肪は、表情筋の上を覆うSMAS層と呼ばれる筋膜に複数の細い靱帯で固定されているのですが、コラーゲンが撚(よ)り集まっている靱帯も加齢とともに緩むため、ずり落ちてたるみやすくなります。 次が、筋肉の衰えです。顔には上唇挙筋や口角挙筋のような顔の各部分を引き上げる働きがある“挙上筋”と、口角下制筋や下唇下制筋のような顔の各部分を引き下げる“下制筋”があるのですが、加齢とともに挙上筋は衰えていき、逆に下制筋は強まっていきます。そのため、顔の各部分が下に引っ張られやすくなります。皮膚と脂肪がだぶつきながら下垂しているため引き下げ力が強まってしまうわけです」
エストロゲンの減少によって顔も骨粗しょう症になり、たるみや落ちくぼみを招く
そして、それに加えて起こってくるのが、顔面の骨やせなのだそう。 「女性は閉経後、女性ホルモンのエストロゲンの分泌がなくなると骨粗しょう症になることはご存じのことと思います。 そもそも骨は、骨代謝と呼ばれる新陳代謝を繰り返していて、骨をつくる骨芽細胞による“骨形成”と、骨を壊す破骨細胞による“骨吸収”がバランスよく行われることで、骨は毎日少しずつつくり替えられています。ただ、このバランスは加齢とともに乱れやすくなります。 エストロゲンには、骨吸収を抑える働きがあるのですが、閉経後にエストロゲンが激減すると、骨形成より骨吸収のほうが優位になるため、骨がスカスカになって、骨粗しょう症になりやすくなるのです。そしてもちろん、骨粗しょう症は顔面の骨でも起きます。特に骨やせしやすい部分は、前頭骨、側頭部、眼窩(がんか)、鼻、あごです。顔の骨が痩せると、その上の皮膚は当然たるみますし、骨やせする頃には脂肪も減っているので、顔面全体のボリュームロスでしぼんだ皮膚が垂れ下がりやすくなります。 また、脂肪と骨の萎縮により、筋肉を支える力も弱くなると筋肉が上に縮みにくくなって、引き上げられなくなります。こういった複合的な要因で顔がたるんでしまうのです」