TV局アナウンサーから難民支援の道へーーウクライナで1年、青山愛の今
ロシアによる侵攻が始まってから、1年以上が経過するウクライナ。現地のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で報告担当官として働く青山愛さんは、侵攻が始まった2日後から、緊急支援チームに加わり支援活動を続けている。 6年前までテレビ局のアナウンサーとして働いていた青山さん。メディアの発信に携わっていた当時も、国連で難民支援を行う今も、目を向けてきたのは、社会において異なる存在とされる人々の声だった。 多様な背景を持つ人たちが、社会で共に生きていくために必要なこととは? 現在のウクライナでの活動、そして難民支援に携わるきっかけとなった学生時代の体験、そこから思い描くこの先の在り方について話を聞いた。(取材・文:木村和歌菜/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
侵攻が長期化する中で続ける支援活動
──ウクライナ入りをして1年以上が経ちました。現在、UNHCRウクライナの報告担当官として、どのような仕事をされているのでしょうか。 私の仕事は、「支援を必要とする人」と「支援をする人」をつなぐことです。 刻々と変わる現場が今、どんな状況で、どんな支援が必要なのか。それを把握するために、現地当局とも連携しながら、ウクライナの人々にヒアリングをします。そして、そのニーズに対応するため、UNHCRがどんな支援を行っているかをまとめて、支援してくださるドナーや連携しているパートナー団体に報告しています。
──侵攻が長期化する中、支援の状況はどう変化していますか。 支援のニーズに、地域差が出てきています。今も激しい戦闘が続いている東部や南部のフロントラインといわれる地域。そこには、高齢者や身体が不自由な方など、社会において最も脆弱な方が取り残されていて、まだまだ命をつなぐための人道支援が必要です。 一方で、西部や中部の地域は、東部や南部に比べるとセキュリティの状況が安定しつつあります。そのため、徐々に復旧・復興へのニーズに切り替わってきている印象を受けます。少なくとも数年間は故郷に戻れず、避難先で暮らさざるをえない方々がどう生活を再建していくのか、中・長期的な視点に立った支援が必要といえます。 例えばUNHCRでは、人々が避難先で就労するためのリスキリング、破壊された家の修復や建て直しなどの支援を行っています。また他にも力を入れているのは、国内避難民と受け入れ先の地域の住民たちが交流するプロジェクト。それぞれのコミュニティ間での摩擦を防ぎ、平和に共存していくための試みが、これから長期的に大切になってくると考えています。