嘉門タツオ(65)「粗品よりもひどかった」30代を振り返る。八代亜紀、桑田佳祐、中島みゆき…大御所の名曲を“笑いのネタ”に
味の素、アデランス…企業ソングの替え唄も
――やりづらくはないですか。 嘉門:いや、そこはもう時代に合わせてやるだけですから。逆にライブとかで「これはNGだったんですけど」という形で唄うことはできますので。「もういいや」とはならないですね。 ――「♪カツオ風味のふんどし~」は味の素さんから許可をもらってるわけですよね。 嘉門:企業さんの場合はもう当時の担当者さんの立ち位置とか発言力とか、いろいろな奇跡が重なった結果です(笑)。「♪閉まってま~す、田舎のローソン」のときは「うちは田舎でも開いております」って言われましたし。完全に向こうの言い分が正しいので、ライブでしか唄いません(笑)。 ――個人的には「♪私の私の彼は~アデランス~」が狂気じみていて好きです。 嘉門:“歌が途中で変わるシリーズ”ですね。アデランスさんはひょっとしたらうやむやだったかもしれないなぁ……。なかには「だしてまえ!」ってだしたけど何も言って来なかった、というパターンもあるんですよ。 ――そう考えると「不寛容」と言われる今の時代、替え唄って「寛容」の象徴なのではないかと思えてきました。 嘉門:中島みゆきさんは全部ご本人がチェックされるんですね。『空と君とのあいだに』の替え唄で「♪鼻~と耳との間には~今日~もモミアゲ生えている~」はオッケーでした(笑)。
替え唄も時代に合わせてやればいい
――時代的に今、替え唄やパロディーがやりづらいみたいな空気は感じますか? 嘉門:そこは規制があればあるところでやればいいだけの話であって、特に感じませんけどね。20代の頃に『恋人は新興宗教の教祖』っていう曲をつくったんですよ。隣のお姉さんのところに8時になったら迎えが来る、その人が新興宗教の教祖だった、っていう内容の(笑)。 ――今聴いてもなかなか攻めていますね。 嘉門:かれこれ30年くらい寝かしてましたが、国会で統一教会のことが問題になったじゃないですか。ちょっとアレンジしたら現代でもいけるんじゃないかと。CD化は無理でもライブなら。20代の頃より自分のスキルは上がっていると思いますし。