「衰退ニッポン」が外国人労働者から見捨てられる日
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
大きく足りない外国人労働者
勤労世代の減少対策では、「外国人労働者を活用すればいいのでは」との意見も多い。経済団体の声に押されて、政府も受け入れ拡大に向けて制度改革を進めてきた。 だが、経済界が期待するほど増えていないのが現実だ。 国際協力機構(JICA)の研究機関「緒方貞子平和開発研究所」と日本政策投資銀行グループの価値総合研究所が、経済成長のために今後必要となる外国人労働者数を推計した報告書をまとめた。 設備投資の見通しや厚労省の年金財政検証を基に今後の経済成長率を1.24%と仮定し、2040年のGDPが2015年比36%増の704兆円に達するという前提だ。 また、日本の労働力は労働政策研究・研修機構の推計から、女性や高齢者などの労働参加が進んだとしても2040年には2015年より778万人も少ない5853万人になるとし、こうした予測を踏まえて目標となるGDPを実現するのに必要となる外国人労働者数を計算したのだ。 結論としては、設備投資によって業務の効率化が進んだとしても、2030年時点で419万人、2040年には674万人の外国人が必要となるが、実際には2030年の外国人労働者は356万人、2040年は632万人しか来日せず、それぞれ63万人と42万人不足するとしている。 厚労省によれば2021年10月末現在の外国人労働者は173万人弱でしかない。このうち日本で技能や技術を身に付けることを目的とした「技能実習」が約35万2000人、留学生によるアルバイトなどの「資格外活動」が約33万5000人を占めている。いずれも数年で帰国することを前提とした働き方だ。そもそも7年後の2030年の不足数を63万人としていることに現実味がない。