産業医が教える、有給休暇を使って休むべきタイミング。寝だめをすると生じる「社会的時差ボケ」に注意。体力とメンタル、どちらも質の高い休養をとる方法とは
◆「有給休暇」は、正々堂々 週末に2日間、生活リズムを保ったうえで心と体をしっかり休めても、それでも疲れが取れないようなら、それは、もう少し休養が必要なタイミングです。有給休暇を取りましょう。 産業医面談でも、「上長と相談して、数日間、有休を取って少し休んでみたらどうですか?」と提案することはときにあり、それだけで心身の不調が良くなる方もいます。 仕事内容が合っていないという場合は別として、働きすぎて疲れがたまっているときには、休養が何よりの薬です。数日間、仕事から離れて過ごすことで体調が戻ってくることもあるのです。 そもそも現代人は、情報過多になっています。 仕事をしていれば気がかりなこと、熟慮が必要なこともあるでしょう。複数のプロジェクトが同時進行して、マルチタスクをこなさなければならないことも多々あると思います。 そんな日々のなかで、家に帰っても、寝る時間になっても仕事のことが頭から離れず、あれこれと考えが巡ってしまうようなら、そこから一歩距離を置いてリフレッシュする時間が必要です。
◆疲れたときこそ、頭の中をからっぽに 少し前に、グーグルやインテルなどの大手企業がマインドフルネスを社内研修に取り入れていると話題になりました。最近では、慶應義塾大学の精神科の先生たちがマインドフルネス&ストレス研究センターを立ち上げ、マインドフルネスについて医学的に研究を始めています。 マインドフルネスは、頭の中をからっぽにして、今この瞬間に意識を集中するというあり方です。情報過多になって、ついあれこれと巡らせてしまう思考を止めて、できる限りからっぽの頭で自分の時間を過ごす。疲れたときこそ、そういう時間をもちましょう。 疲れているのに頑張り続けていたら、リフレッシュをしようにも、何も楽しめなくなってしまいます。心が疲れすぎると、自分の好きなことでさえ、楽しめなくなってしまうのです。ですから、できることなら、そうなる前に一息つきましょう。 有給休暇は、法律で保障されている労働者の権利です。再び万全の状態で働くためのリフレッシュならなおさら、正々堂々と休みを取りましょう。そして、心と体を整える時間をつくってほしいと思います。 ※本稿は、『産業医が教える 会社の休み方』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
薮野淳也
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