65歳まで待てない! 年金の繰り上げ受給とは?|繰り上げ受給のメリット・デメリットを解説【シン・会社のマナー】
多くの人にとって、老後の生活費の柱となるのはやはり「年金」でしょう。老齢年金の代表的なものは、国民年金の老齢基礎年金と会社員などが加入している老齢厚生年金です。現在これらの年金の支給開始年齢は、原則として65歳となっています。高齢になっても働く人が増えたとはいえ、65歳まで年金の支給がないのは厳しいという人もいるでしょう。 写真はこちらから→65歳まで待てない! 年金の繰り上げ受給とは?|繰り上げ受給のメリット・デメリットを解説【シン・会社のマナー】 年金を早くもらって、生活を楽にしたいと考える人も多いのではないでしょうか? 今回は、年金の繰り上げについて人事・労務コンサルタントとして「働く人を支援する社労士」の小田啓子が解説していきます。
年金の繰り上げ受給とは
老齢年金というのは、2階建ての仕組みになっています。1階部分に国民年金の老齢基礎年金があり、厚生年金の加入期間がある人は、2階部分に上乗せされる形で老齢厚生年金が支給されます。老齢年金の支給開始年齢が近づくと、日本年金機構から年金請求書が送られてきます。そこで請求を行なえば、65歳に達した月の翌月から年金の支給が開始されます。 ◆年金を受け取るタイミング ただし、年金は支給開始年齢より早く受け取ることも、遅く受け取ることも可能です。これが、年金の繰り上げ・繰り下げ受給というものです。65歳から支給開始になる年金だと、繰り上げて60歳から受け取ることができますが、繰り上げた月数に応じて年金が減ることになります。繰り上げ請求をした時点で年金は減額され、その減額率は一生変わりません。 また、繰り上げ受給をする場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げなければなりません。ちなみに、繰り下げ受給を希望する場合は、66歳から75歳まで繰り下げることができ、繰り下げた月数に応じた増額があります。繰り下げは老齢基礎年金、老齢厚生年金別々に繰り下げることが可能で、片方のみ繰り下げるケースもあります。
繰り上げ受給するといくら減額される? 計算方法も
年金を65歳より早く受け取りたいという人は、支給開始年齢になるのを待たずに年金事務所に年金請求書を提出することで繰り上げることができます。繰り上げ請求をすると、請求した日の翌月分から年金が支給されます。ただし、手続きを行なった時点で年金の減額率が決まりますから、請求の時期は注意する必要があります。繰り上げ受給すると、年金は実際どれくらい減額されるのでしょうか? ◆計算の仕方 年金の受け取りを繰り上げる場合の減額は、繰上げた月数×0.4%の式で計算されます。1年間繰り上げると4.8%、5年繰り上げると24%の減額になります。減額計算のもとになる年金は、老齢基礎年金の振替加算や、老齢厚生年金の加給年金などは除いた金額が対象になります。 例えば、老齢基礎年金、老齢厚生年金あわせて、65歳からの支給が月15万円だとすると、1年間繰り上げると、年金月額は14万4千円になり、5年間繰り上げた場合は月額11万4千円になります。 また、生年月日が昭和37年4月1日以前の人は、減額率は月0.5%となりますので、1年間で6%、5年間で30%の減額になります。繰り上げ請求した後は、繰り上げを取り消すことはできません。生涯にわたり、減額された年金を受け取ることになりますので、繰り上げ請求はよく考えたうえで行なう必要があります。