団地を愛しすぎた男「公団ウォーカー」管理人が選ぶ全国の”推し団地”! 団地さんぽで”ベランダで見分ける居室スペック””時代の遺物ダストシュート”など見どころも発見
<建物の見た目が迫力ある団地> ◆埼玉県三郷市 みさと団地 「賃貸と分譲それぞれありますが、分譲においてはURの中でも最大級の戸数。URでは2番目の大きさです。高層棟が多く、ずらりと並んでいる風景はとても迫力がありますよ」 ◆兵庫県芦屋市 芦屋浜シーサイドタウン団地 「こちらも建物の迫力に圧倒されてしまう団地です。プレハブ工法(工場で製作加工された部材を、建築現場に搬入して組み立てる工法)で建てた超高層建築。なんと一部の建物は最高29階まであります。見た目はタワマンのようですが、なんと1979年竣工なんです。今でこそタワーマンションは当たり前になりましたが、当時は最先端の技術。これらの建物がずらりと並んでいる姿は近未来的な雰囲気で、圧倒されてしまいます」
建物はタワーマンションと同じくらいの高さがあるものの、細部に素朴さも感じられる。
<面白設備がある団地> ◆北海道札幌市 あけぼの団地 「ご当地性が出ている団地はつい見てしまいますね。ここの団地は玄関の横に石炭庫があります。もちろん今は使われてないですが、名残としてとても広いスペースが残っていますよ。玄関の扉を入ってすぐ横のスペースにだいたいあります。当時は石炭ストーブを家の中で炊いていて、会社から寒冷地手当ての代わりに石炭が現物支給され、その石炭庫にいれていたようです」
玄関を入ってすぐ右にある部屋が石炭庫。かなり広々しており、今なら納戸として使用できそう。
近年、再び団地が注目されています。照井さんもそれは実感しているそうです。 「手ごろな家賃ももちろんですが、設備が綺麗になって快適さが増したほか、団地内のコミュニティ、豊かな自然に惹かれてまた若い世代が興味を持つようになっているのでしょうね。神代団地では、1階の多くが高齢者向けに改修されているため、高齢の方が多くなっていますが、階段の上り下りがある2~5階は若い世代の入居が増えています。子育て世帯も増え、団地の高齢化もひと段落してきたようです」 照井さんは団地の魅力を最後にこう教えてくれました。 「私が大きくなり、実家は分譲マンションに住まいを移しました。それから何年もたちますが、マンション内での交流がほとんどありません。お隣に誰が住んでいるのかも分からないまま暮らしている人も少なくないでしょう。 その点団地は、玄関が階段に面している”階段室型”のタイプが多いので、ドアを開ければ目の前で顔を合わせることが多い。上下階の住民と仲良くなりやすいんですよね。もちろん不便さやデメリットもあるかもしれないけれど、人のつながりや育ち合いは団地に代わるものはないと感じます。子どもたちにはここで暮らしていてよかったな、楽しかったなという思い出をつくってほしいです」 住まいには、便利であること、綺麗であることを重視する人も多いですが、時代と共に進化している団地も一考する価値があります。魅力にあふれた団地、商店街など、住人以外も出入りできる場所がある団地も多いのでぜひ見て回って体験してみませんか。住まいの選択肢として検討する前に、まずは歩いて探検してみると、新たな魅力に気付けるかもしれません。 ●取材協力 公団ウォーカー照井 啓太さん
永見薫
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