ブラックロックが債券巡り警告、市場の米利下げ織り込みは行き過ぎ
(ブルームバーグ): 米資産運用会社ブラックロックのストラテジストらは、米短期債の投資判断を「オーバーウエート」から「アンダーウエート」に引き下げた。市場が織り込む米利下げの度合いは実現しない可能性が高いとしている。
ブラックロックのチーフ投資ストラテジスト、ウェイ・リ氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)による緩和開始は遅過ぎで、景気浮揚のため今後利下げペースの加速を余儀なくされるという市場の観測は見当違いだと指摘。ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで同氏は、FOMCが今週の会合で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施するとの予想を示した。
リ氏は「利下げサイクルの深さの織り込みで市場はやや行き過ぎていると、われわれは考えている」とし、「利下げサイクルは始まるが、市場の織り込みほど深くはないようだ」と述べた。
米金融政策により敏感な2年債の利回りは16日、2022年9月以来の低水準付近で推移した。
リ氏は、比較的高い利回りが得られるとの理由から、イールドカーブでベリーと呼ばれる中期ゾーンの5-10年債を選好している。
FOMCの政策決定に連動したスワップ取引は現在、50bp利下げを50%超の確率で織り込んでいる。この可能性はつい1週間前には事実上排除されていた。12月末までの利下げ幅については約118bpと予想。また2025年末までに政策金利は3%を下回ると見込んでいる。
リ氏は、リセッション(景気後退)のリスクが高まっている可能性は認めつつ、米経済は縮小ではなく減速するというのがなお基本シナリオだと述べた。また、政策当局者らは経済の一部で見られる「根強い」インフレを引き続き懸念していると、リ氏は指摘した。
労働市場については、「過去6カ月における雇用創出は平均16万4000人だ」とリ氏。「これは依然としてかなり堅調なペースだ」と語った。
原題:BlackRock Warns on Bonds, Saying Fed Rate Cut Bets Are Overdone(抜粋)
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Anchalee Worrachate