大勢決した自民総裁選 注目集まる「その先」
広まる「10月25日総選挙」説
永田町では、新型コロナウイルス対策が思うように進まず、安倍内閣の支持率が下落していた5月ごろ、「9月衆院解散、10月25日総選挙」の噂が広まっていた。衆院議員の任期は来年10月まであるが、来年はさらに景気が悪化する可能性があり、東京五輪・パラリンピックも開催できるか不透明な情勢だ。それならば先の通常国会で成立させた大型補正予算の効果が出る今年秋に選挙をやった方が政権与党に有利、というのが理由だった。 最新の世論調査では、内閣支持率がV字回復している。JNNが9月5日、6日に実施した調査では内閣支持率が62.4%(+27.0)、不支持が36.2%(-26.0)。8月1日、2日の調査よりも内閣支持率が27ポイントも増えた。自民党の支持率もそれに比例してアップしている。解散をする環境は整っているようにも見える
連立を組む公明党にも、10月総選挙を歓迎する声はある。同党の国会議員が言う。「来年7月には東京都議選があり、党を挙げて全員当選を目指します。それに注力する分、同じ年に国政選挙をやる余力がない。今、総選挙をやってくれた方が、都議選に向けて時間も空く。歓迎する人は多いでしょう」。 重要なのは解散総選挙に打って出たい時期に、新型コロナの感染をある程度、抑え込めているかどうかだ。各紙の世論調査をみると、「本腰を入れて新型コロナ対策、経済対策をやってほしい」「総選挙は来年でいい」という声が多く上がっている。政権側が判断を見誤ると、しっぺ返しを食う可能性もある。 菅氏も8日の共同記者会見で、「国民が政権に期待しているのはコロナの収束」だとした上で、「コロナの状況がどうかということは(解散総選挙に)大きく影響するだろう」と述べている。 もう1つ解散の重要な判断材料となり得るのが、野党の支持率だ。国民民主党と立憲民主党などによる「合流新党」が15日に誕生し、玉木雄一郎氏らの新「国民民主党」も同じく15日に発足する。自民党の新総裁が臨時国会での首班指名を経て新しい首相に選出される見込みなのは16日だ。野党の「新しい塊」に国民の期待がどれだけ集まるのか、政府・自民党は今後、細かく情勢調査をして、解散の判断材料にするだろう。 菅氏が有利に展開する総裁選だが、“その先”への関心も日に日に高まっている。