はやぶさ2、リュウグウ観測状況は? JAXA会見(全文1)予定通りの軌道に分離
当初の目的を果たすことは極めて困難
吉田:それでは引き続きまして、MINERVA-II、ローバ2の分離運用について、東北大学の吉田より説明をさせていただきます。 久保田:資料は別の資料に。 吉田:はい、別の資料になりまして、今、画面にその表紙が出ております。では、まず表紙をめくっていただいて。まず最初に絵を紹介しておりますけれども、「はやぶさ2」には合計4機の小型ローバ、すなわち小惑星表面に向けて分離、投下するタイプのペイロードが搭載しておりまして、ローバ1A、1BとMASCOTの3つはすでに昨年の秋に分離され、成功裏にミッションが実施されております。この中で大学コンソーシアムが開発いたしましたローバ2のみまだ分離されておらず、今回、分離運用を実施していただく運びとなりました。 ではページをめくっていただいて、昨年11月8日の記者説明会の場におきまして、ローバ2におきましてはデータ処理系に不具合が起きているということを説明させていただきました。具体的には、机上での動作チェックでは、「はやぶさ2」とローバ2との間で通信を確立するということはできるものの、ローバ2のデータ処理系を正常に起動することができておりません。この状況は現在も変わっておりません。従いまして、このままでは当初の目的を果たすことは極めて困難であるというのが正直なところでございます。 そこで前回方針を少しお話しさせていただいたのですが、開発当初の目的にこだわるのではなく、ローバ2の分離運用を通して何か科学的に有意義な成果を得ることができないか、と検討を行ってまいりました。この間、「はやぶさ2」チームの皆さま、そして米国コロラド大学、そして九工大、東北大とありますが、この2大学はコンソーシアムのメンバーでございますけども、この4者を中心に、さまざまな皆さまとご相談をさせていただきました。 その結果、当初予定していたローバを着陸させて、着陸後の表面移動や画像を撮るということではなく、やや高めの高度にてローバ2を分離して、リュウグウの周りを複数回周回させてから着地することを目指し、その周回運動の様子を「はやぶさ2」から観測することができれば、リュウグウの重力場をより詳しく知ることが期待できるのではないか、との考えに至りました。そして分離状況の確認や、予測軌道のシミュレーションなどの準備を行ってまいりました。では次のページをお願いいたします。 【書き起こし】はやぶさ2、リュウグウ観測状況は? JAXA会見 全文2に続く