古代エジプトの書記官も関節痛に悩んでた? 「現代と共通」と研究者
4千年以上前の古代エジプトで行政を担った書記官は、あごや首、肩などの関節痛に悩まされる過酷な仕事だったようだ。関節などに共通する変形があることをチェコの研究者らが発見し、科学誌サイエンティフィック・リポーツ(https://doi.org/10.1038/s41598-024-63549-z)に27日に発表した。理由は現代のオフィスワーカーにも当てはまるものだという。 【画像】約1万2800年前、中東のアブ・フレイラの村を襲った彗星の空中爆発(イメージ) ■あご関節、右肩、右親指などが変形 プラハ国立博物館のペトラ・ブルクネル・ハベルコワ氏とカレル大のベロニカ・ドゥリコワ氏らは、紀元前2700~2180年に埋葬されたエジプトのアブ・シール遺跡の成人男性69人の人骨に注目。墓に記録された情報から、行政職を担う書記官30人を特定し、他の人骨と比べたところ、関節がすり減るなどの変化がみられる傾向があった。 変化がみられたのは、あご関節、右肩、右親指の第1中手骨、ひざ、脊椎(せきつい)などで関節痛の発症率が高かったとみられる。 ■机やいすがない時代、片ひざ立てて仕事 脊椎と肩は、頭を前に傾け、背骨を曲げ、あぐらの状態で長時間座っていた影響とみられ、ひざや尻、足首は、片ひざを立てて座る姿勢が影響した可能性があるという。いずれも壁画や彫刻で描かれることの多い書記官の姿勢だ。 一方、あご関節はペンに使ったアシの茎先をかんで筆先を整えていたため、右手親指はペンを握り続けたためらしい。ひざの皿にへこみもあったという。
朝日新聞社