アフターコロナに向けクラシックはじめ音楽界いまが考え時
「ピンチをチャンスと考えたい」ピアニストの小原孝氏
今の状況をアフターコロナへとつなぐ契機として捉えるのは、今年デビュー30周年を迎えたピアニストの小原孝氏。NHK-FMで20年以上に渡り人気番組「弾き語りフォーユー」を続け、クラシックのみならず童謡、ジャズ、ポップス、映画音楽、ドラマ主題歌などジャンルに囚われない多彩な演奏活動で知られる。 「僕の場合、2月末からキャンセルが始まり現時点で7月末までの演奏会はすべて中止。最高の30周年にしようと思って何年か前から計画していたことがまったくできなくなったのですが、これをむしろ新しい時代の音楽のあり方を考えるきっかけにしたいですね。YouTubeチャンネルを始めYouTubeライブに挑戦したり、以前ならしなかったことを始めました。セミナーや大学の講義もオンラインです」 好むと好まざるとにかかわらず、やらざるを得なくなったことで次のステップへの足がかりにしたい、とポジティブだ。 「ピンチをチャンスと考えて頑張りたいな、と。コロナが落ち着いても一番遅くまで打撃を受けるのが音楽や演劇などライブで楽しんでいただくジャンル。ホールでも客席間の距離をとらなきゃいけない状況は続くでしょうし、密なところに行きたくない人も増えるかもしれません。でも逆に、演奏会ができなくなったからこそ本当に演奏会の大切さ、普通に演奏できることのすばらしさ、それがよりわかるようになった面もあると思うんです。音楽なんてなくてもいいって、のけものにされないように、今からネットをはじめいろいろなところで本当に頑張って伝えていくっていう気持ちが大事だと思います」(小原氏) 共通していえることは、音楽業界に限ったことではないが、コロナが落ち着く頃に向けてコロナ禍で体験したことやこの現状をどのようにつなげていくのか、今こそ真剣に考える時だ、ということだろう。 (文:志和浩司)