新型コロナ影響でソロアイドル復興か 激変するライブ事情
近年のアイドルシーンを草の根的に盛り上げてきたライブアイドルの世界は、公演やイベントなど“3密”環境における活動が収益の中心だっただけに、新型コロナウイルスの感染拡大で甚大なダメージを受けている。どのように生き残るか。多数のライブアイドルの公演を提供してきた「東京アイドル劇場」主宰のノトフさんは「いままさにソロアイドルとしての強さが求められるのでは」と話す。その心は。
トーク会やチェキ会のオンライン化が加速
「3月末から4月いっぱいは全公演を中止にしました。今後は社会情勢や政府発表を注視しつつというところですが、再開できてもいままで通り200人集めていいよ、っていう状態には急には戻せないと思います。出演者もお客様も、みんながいい形で再開したいのですが、その間にも経営が立ち行かなくなるグループも出てくるでしょうし、ライブアイドル業界の文化が根底から変わるかもしれません」 メジャーなアイドルにも言えるが、近年のアイドルシーンは「ライブを観て仲間たちと盛り上がり、そのあとチェキ会などに参加する」といった、まさに“3密だからこそ楽しかった”面が大きい。 「いま、多くのアイドルがネットを利用した1対1のトーク会やチェキ会に続々と参入しています。1分千円とか値段を決めて、たとえばZOOMなら自分たちのPayPayアカウントにQRコードをのせて支払いしてくれた人をつなぐ。オンラインでトークしてチェキの注文を受け、その場でサインを入れ、現物は郵送などの手段で届けられるんです」
求められてくるソロアイドルとしての強さ
今後は、個人の力量が重要になってくると予想する。 「ネットに長けたプロデューサーやアイドルならネット上でコラボして盛り上げる方向もアリですが、現状は自宅から1人でやる子が多い。YouTuberや『歌ってみた』動画の人たちもソロが多いですよね。活動の軸が1人だとトークの面白さやルックス、キャラ、歌唱など、人数で補えていたところが補えなくなる。メジャーなグループアイドルでも結局は個人の実力や魅力がなければ上にはいけなかったんですけど、今後はよりソロアイドルとしての強さが求められてくるのではと考えています」 実力差がより顕著になってくる、ということか。 「ただ、トーク会にしてもチェキ会にしても要はライブ後の特典会などのイベント部分をネットに移しているわけなんです。アイドルってなんだろうと考えたとき、僕はやっぱりステージだと。ただ可愛い子としゃべるだけならチャットレディじゃないですか」 追い詰められたからこそ、さまざまなアイデアが浮かぶ。 「自宅から歌って踊る映像と音声を届ける環境を、出演してくれる各アイドルに作ってあげたい。音源や、配信用にセッティングした機材、背景の幕などを無償レンタルして、オンラインでアイドル劇場をやっていこうかと。スマホのモバイル回線でSHOWROOMやってましたって子たちだと、月末になると容量使いすぎで速度制限されてできません、みたいなこともあるので、モバイルもこちらで契約して送ってあげるとか」