富裕層の「ライフプランニング」と「リスクマネジメント」…安定的な資産運用・遺産分割を実現する、プライベートバンカーの手法とは?【公認会計士が解説】
個人のリスクマネジメントと保険
リスクマネジメントとは、リスクの大きさを評価し、重要なリスクに対して予防措置を講じたり、損害を減らしたりすることです。リスクが現実のものとなった際に必要な保障額を予測し、自己資金や社会保険で対応します。カバーできない部分は、民間の保険を活用します。 社会保険には、遺族給付、障害給付に加えて、療養給付としての医療保険があります。療養給付とは、病気や怪我をした際に受ける現物の医療サービスです。 公的医療保険は、医療保険と後期高齢者医療制度に分けられ、国民健康保険や健康保険、75歳以上の方が対象の高齢者医療制度があります。高額療養費の制度によって、医療費の自己負担には限度額があることから、支払えないほど大きな医療費の支払いを強いられることはありません。 また、日本には、公的介護保険の制度があります。要介護度に応じた介護サービスが提供されています。 民間の保険は、保障機能と貯蓄機能を持っています。保障機能では、死亡や病気、事故など予期せぬ事態に備え、保険金を受け取ることができます。一方、貯蓄機能では、満期や中途解約時に保険金を受け取ることが可能です。保険は、生命保険、損害保険、第三分野保険の3つに分けられます。 生命保険は人の生死に関して保険金が支払われ、損害保険は事故による損害を補償します。
法人のリスクマネジメントと保険
オーナー経営者の所有する会社には、事業の継続性を脅かすリスクと相続に伴うリスクがあります。これらのリスクに対処するため、個人契約の生命保険で相続リスクをカバーし、法人契約の生命保険で事業保障リスクをカバーすることになります。 事業保障リスクは、経営者が亡くなった際に事業が継続できなくなるリスクです。会社が成長するにつれて高まります。経営者が亡くなると、信用力と営業力の低下により資金繰りが悪化する可能性があります。死亡保険金によって営業資金を数か月分確保することが必要となるでしょう。オーナー経営者の退社までを保障期間とするため、長期平準定期保険がよいでしょう。保険料の損金算入割合や解約返戻率を考慮して商品を選びます。 相続リスクは、経営者が亡くなった際に相続に関する争いが起こるリスクです。相続税の納税資金、死亡退職金や弔慰金を支払うための資金確保が求められます。100歳満了の長期平準定期保険や終身保険がよいでしょう。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄
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