富裕層の「ライフプランニング」と「リスクマネジメント」…安定的な資産運用・遺産分割を実現する、プライベートバンカーの手法とは?【公認会計士が解説】
「キャッシュフロー表」の作成と分析
その一方で、キャッシュフロー表の作成は、先に「ライフイベント表」を作り、一時的な大きな支出がどこで発生するのか予測しておきます。 結婚、出産、教育、住宅購入、退職などの将来のイベントとそれに伴う必要資金を時系列にまとめます。 キャッシュフロー表には、収入、支出を記載し、その差額としての残高を計算します。 現役時代の収入には、給与収入、資産運用収入、家賃収入などがあるでしょう。支出には、住居費や教育費、生命保険料、損害保険料がありますが、一時的に発生するものとして、結婚や出産、趣味の費用、自動車、投資不動産、家族への贈与などがあります。 年間で収支がプラスの場合、金融資産が増加しますが、マイナスの場合には減少します。金融資産残高がマイナスになり借入金が増えた場合は、収入を増やしたり支出を減らしたりする対策が必要です。また、将来のために老後資金の準備を行うことも重要です。 老後の収入の主たるものは年金収入です。日本の年金制度では、国民年金と厚生年金保険の公的年金と、確定拠出年金などの私的年金があります。 公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金で構成されており、老齢基礎年金は加入期間によって決定し、老齢厚生年金は加入期間と保険料の基礎となった報酬額によって決定します。 老後の生活に最低限必要なお金は、夫婦2人で毎月22万円程度です。ゆとりある生活を望む場合、14万円を追加した36万円程度が目安となるでしょう。プライベートバンカーのお客様は、この基本的な生活費のほか、子供や孫への資金援助や社会貢献のための寄付も行います。 老後の期間を考える際には、男性の平均寿命が81歳、女性が87歳であり、60歳の現在から95歳まで生きる人が4人に1人いると推計されます。 金融資産残高に関しては、十分な残高があり、年間の収支マイナスを補填しても資産が枯渇しない場合は問題ありません。しかし、資産が枯渇する恐れがある場合は、現役時代に金融資産を増やしておく、老後の生活費を削減する、働く期間を長くする、公的年金の受給開始を遅らせる、運用スタンスを見直すなどの対策が必要です。
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