地域を巻き込む仕組み「世界に発信」 湘南アイパーク運営会社 藤本社長インタビュー 神奈川発 医療革命(下)
製薬や次世代医療などを牽引(けんいん)する企業、団体など約130社が入居する研究開発拠点「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」(藤沢市)は、地域を巻き込んだ新たな医療・健康の仕組みづくりも目標に掲げている。運営会社「アイパークインスティチュート」の藤本利夫社長(56)に成果や展望を聞いた。 ■中立性ある中心地に --目標としているのは 「武田薬品の研究所だったが、6年前に多くの企業が集うオープンイノベーションの拠点に再構築した。当初から心がけていたのは、スイスのような中立性を持つことと、サイエンスの中心地になること。昨年、武田薬品から独立し、さまざまなサービスを提供できるように変わった」 --アイパーク発の展開は 「例えば大企業同士の協業。前臨床の創薬のプラットホームを共通化して一緒に創薬を行っていくという動きがある。大学と大手企業との共同研究からベンチャーが誕生したケースもある。実用化に向けた動きや、薬が生まれる前段階にある会社も生まれた。医療、健康のエコシステム(複数の研究機関や企業が共存共栄を図る仕組み)や提携、新たな事業が生まれる場所にしたい」 --その手応えは 「革新的な薬品がいくつ生まれたのか、患者を救えているかという点では、世界に誇れる成果はまだない。ただ、昨年1年間で2100件以上のビジネス提携、共同研究が生まれた。始まりの部分が達成できてきた。次に進むには、支援の充実が必要だ。例えば、資金面は圧倒的に足りない。米国のバイオベンチャーへの投資額に比べると、日本はわずか3%ぐらい。これだけ違うと同じ技術をもっていても、開発のスピードは天と地の差。技術的なスタートは同じでも、できるまでに大きな差が出る」 ■4つの戦略領域 --手立てはあるか 「考えているのは、米国の投資家の信用をつかみ、アイパークとつながれば日本での投資ができるという仕組みをつくること。今回、韓国のベンチャーに入居してもらったのは、日本だけでなく、韓国への投資もできる魅力を持たせる狙いがある」 --湘南アイパーク発のエコシステムとは