プロ初ゴールのセレッソ17歳“超新星ワンダーボーイ”北野颯太の何がどう凄いのか…あの元日本代表も絶賛
YBCルヴァンカップのグループステージ第2節が2日に行われ、グループAのセレッソ大阪は敵地・県立カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと対戦。17歳の高校2年生、FW北野颯太のプロ初ゴールを守り抜いて1-0で勝利した。 前半開始1分、6分と決定機を逃していた北野は同12分、左サイドからのアーリークロスをペナルティーエリア内で巧みにトラップ。相手ディフェンダーを背負いながら反転した直後に右足を振り抜き、角度のないニアサイドを豪快に打ち抜いた。 17歳6ヵ月17日でのゴールはルヴァンカップ史上で4番目に若く、セレッソ歴代では南野拓実(27、現リバプール)の18歳2ヵ月7日を抜く最年少記録。2月25日にプロ契約を結んだばかりのパリ五輪世代の超新星がまばゆい輝きを放った。
自画自賛のトラップ
わずか5秒ほどの間に、身長172cm体重60kgの成長途上の身体に搭載された、非凡なテクニックとセンスが一気に解き放たれた。 ハーフウェイラインを越えたあたりで、セレッソのボランチ鈴木徳真(24)が、左タッチライン際のDF山中亮輔(28)へパスを通す。この瞬間、2トップの一角で先発していた北野は、山中からのアーリークロスを呼び込もうと前方へスプリントを始めていた。 ターゲットは鹿島の両センターバック、三竿健斗(25)とキム・ミンテ(28)の間。前者の裏へ侵入した北野はペナルティーエリア内の左側で右足を胸元まで上げ、最後は小さくジャンプしながら、高くバウンドした山中のアーリークロスを巧みにトラップした。 このとき、北野は鹿島ゴールへ背を向けた体勢だった。そして、計算通りにキムが背後についてきた。ただ、ペナルティーエリア内だけに、厳しくチェックできない。主導権を握った状態で、北野は時計の針と逆方向へ身体を反転させていった。 「ファーストタッチが決まったので、あとは思い切ってシュートを打つだけでした。調子はよかったし、あとは点を取る、というところだけだったので本当によかったです」 試合後のフラッシュインタビューであどけない童顔をほころばせた北野だが、実は身体を反転させながらしっかりと顔を上げている。ペナルティーエリア内で自身をフォローする味方がいない状況を目視したからこそ、何がなんでもシュートを打つと決めた。 さらにファーサイドへ巻いたシュートも打てる体勢だっただけに、鹿島のゴールキーパー沖悠哉(22)がほんのわずかながら重心を右方向へ傾かせた。必然的に隙間が生じたニアサイドに狙いを定め、腰を強引に捻りながら放った一撃で打ち抜いてみせた。 山中が左タッチライン際でパスを受けてから、北野がゴールネットを揺らすまでに要した時間が冒頭で記した5秒ほど。そして、北野が自画自賛したトラップがテクニックならば、状況判断力とキムや沖と演じた駆け引きがセンスとなる。 それらが完璧に融合され、値千金の決勝点となった北野のプロ初ゴールへの評価を問われたセレッソの小菊昭雄監督(46)は、まずは苦笑いを浮かべている。 「その前にキーパーとの1対1の場面を外していたので、(大阪へ)帰ってからしっかりと練習をしないといけないな、と思っていた矢先だったんですけど……」