「プラスチックを使うのはそんなに悪いこと?」一点もののプラ工芸品から未来を描くプロダクトブランド
捨てられたプラスチックから、一点ものの製品を生み出す
こうした課題意識を持ったテクノラボは、世の中からプラスチックをなくすことを目指すのではなく、プラスチックをきっかけに物との向き合い方を問うために、2020年に新規事業としてプロダクトブランド「buøy」を設立。日本全国の海岸に流れ着いた海洋プラスチックごみを材料として、植木鉢や歯ブラシスタンド、キーホルダーなどを作り販売している。 「私たちはプラスチックがもつ高い耐久性や強度といった特徴を生かして、製品開発を行っています。今までは"替えが効くもの"や"使い捨ててよいもの"として扱われてきたプラスチックが、思い入れを持って大切にされるものになってほしいという願いを込めて、一点物の工芸品を作ってきました。デザイン面では、海洋ごみの色合いを生かしながら "この素材って海洋ごみなの?"という驚きを持って手に取ってもらえるようなプロダクトに仕上げることを心がけています」 buøyでは製品の原料である海洋プラスチックごみを、ビーチクリーン(海岸清掃)を行う全国の団体から買い取っている。集められた海洋プラスチックごみは福祉事業所などで洗浄、粉砕、パッキングされた後に自社工房に送られ、デザイナーやスタッフが製品化を進める。buøyを展開するテクノラボは、本業がプラスチックメーカーであるため、まとまった量の海洋プラスチックごみをリサイクルする技術やプロセスが確立されている。 「ビーチクリーンに取り組んでいる皆さんには、海岸で拾ったごみが一点ものの製品に生まれ変わるという循環を感じてもらうことで、少しでも活動の励みになればと考えています。また、海洋ごみは全国に溢れているので、日本各地が産地になりえるという面白さもあります。今は神奈川にある自社工房のみで製品開発を行っていますが、今後は各地に生産拠点を設けて、その地に流れ着いたプラスチックごみならではの色味や特徴を生かした製作ができたら嬉しいですね」