ポスト・スマホ、Apple Vision Pro対応の新時代アプリを開発! 空間コンピューティングとは
2024年6月、「iPhoneを超える革命」と噂される次世代デバイスApple Vision Pro(AVP)が日本に上陸した。AVPを装着すると、空間自体がコンピュータの画面になり、現実の空間とインターネットの世界が融合するという。そんな次世代デバイスAVPのアプリをいち早く開発した男がいる。会社経営をしながら新時代のアプリ開発を進め、寝袋で寝る日々……。次世代コンテンツづくりに熱中する、寝袋社長の素顔に迫る。 【写真】AVPを使った仕事風景、バーチャルな水族館etc.
ポスト・スマホといわれるAVP対応のアプリを開発
「開発のため土日も会社に泊まりこみで寝袋生活をしました。これが合宿みたいで楽しくて。小さな会社でリソースも限られていますが、AIの力を借りて開発を進めたので、想定の8倍の速度でリリースできました」 何台ものモニターに囲まれながらそう淡々と語るのは、新宿にあるITベンチャー企業STYLYのCEO・開発者の山口征浩だ。 山口は、2024年2月に米国で発売されたApple Vision Pro(以下AVP)の専用アプリ「STYLY for Vision Pro」を開発し、AVP発売日にリリース。ユーザーが自由に3Dの空間コンテンツを作成しシェアできる新時代のアプリが誕生した。 「AVPは、『空間コンピュータ』と呼ばれていて、その名のとおり、空間自体がコンピュータの役割を果たしてくれます。これは今まで世の中に普及してきたデジタルデバイスと革新的に異なります。今、私たちが使っているスマホやパソコンは、物理的なディスプレイがないと操作できませんよね。でもAVPでは、デジタルのディスプレイを空中に浮かせて、どこでも好きな場所に置くことができる。SF映画の世界がもう現実になっているんです」 現段階では、1台約60万円と高価で、重量もあるAVP。だが、今後軽量化され価格も安くなれば、誰もがAVPのような空間コンピュータを身につけて暮らすようになると話す山口。そんな未来を見据え、AVPを装着して仕事や私生活も送っているという。 「まだスマホのような手軽さはありませんが、今は携帯電話の初期のショルダーフォンのような段階。すぐに小型化されるはずです。現状でも解像度は驚くほど綺麗です。視線がポインター代わりになり、指先でクリック操作もできて身体の一部のように扱えます。そのうちスマホを持っている人はいなくなると思いますよ。私はAVPをつけて飛行機にも乗ります。銀行に入ろうとしたらさすがに止められましたが(笑)」