審判不手際による“大混乱”「併殺問題」でヤクルト高津監督が猛抗議…いったい誰の何が悪かったのか?
ネットの検索ワードで「高津監督」「フォースプレー」などが急浮上。ネット、SNS上も「高津監督の怒りは当然」、「中日ファンだけど審判の説明に納得いかない」、「ヤクルトにとって大事な時期にありえない審判のミス」、「なぜ審判がミスを認めて謝らないのか」などの声で炎上した。 ヤクルトにとってなんとも後味の悪い幕切れとなったが、いったい誰の何が悪かったのか。 昨年まで阪神で7年間コーチを務め、侍ジャパンでも内野守備走塁コーチを務めるなど、守備走塁への造詣の深い評論家の高代延博氏は、まず審判の不手際を指摘した。 「一番悪いのは、京田が二塁ベースを踏んだ時点で、目の前で見ていた塁審がアウトのコールをしなかったこと。新聞のネット報道によると、嶋田塁審は『ベースを踏んだことは確認していない。だからアウトもコールしていない。一塁走者はそのまま生きていた』と説明したらしいが、目の前で見ていて『確認していない』わけがない。言い訳のできない不手際だ。あくまでも推測だが、長いランダウンプレーになったので、打者走者がセーフだったことを忘れ、二塁はフォースプレーではなくタッチプレーが必要だと勘違いしていたのだろう(もし打者走者が先にアウトとなっていればフォースアウトは成立せずセカンドはタッチプレーが必要)。アウトのコールがあれば、当然、三塁走者も突っ込んでいなかっただけに高津監督の怒りもわかる。ただルール上は、二塁でフォースプレーが成立、本塁に突っ込んだ走者もアウトでダブルプレーの成立となりゲームセット。いくら抗議したところで、二死からやり直しなんてことは絶対にできない。それでも、あそこまで抗議するのは不手際をした審判団がミスを認めない対応をしたので、怒りが収まらなかったのだろう」 これは当該審判に対してセ・リーグがペナルティを科さなければならない不手際である。そして、そもそも与田監督が、アウトをコールしなかった審判のミスに対してリクエストを使わねばならなかったこともおかしい。リクエストではなく与田監督の抗議に対して審判団は自らリプレー検証して確認すべき案件だろう。 阪神を3ゲーム差で追いかけていた2位のヤクルトは連敗で、試合のなかった巨人に抜かれ3位転落となった。納得のいかない敗戦となったが、高代氏は、もうひとつ、このランダウンプレー中のヤクルトのミスも指摘した。 「今回のケースで打者走者がアウトとなった場合は併殺でゲームセットとなる可能性が高いため、送球ミスがあるかもしれないので、二塁走者は本塁へ突っ込ませる。中日時代に星野監督にも『回してくれ』と言われていた。ただ打者走者がセーフになった場合は違う。三塁ランナーは突っ込ませずに、二死一、三塁にして次打者につなげるのがセオリー。塁審のアウトのジャッジがなく、ランダウンのプレーが続いていたとはいえ、三塁コーチはフォースアウトであることはわかっていたはずだから、ああいう形で本塁へ突っ込ませるべきではなかった」 セルフジャッジは危険と背中合わせだが、的確な判断が必要なケースもあるのだ。 そして、そもそも9回無死一、二塁から西浦が送りバントに成功していれば、川端のセカンドゴロで同点だった。野球に「たられば」は厳禁だが、高代氏は「9回のバントミスもそうだが、ヤクルトは序盤からチャンスを作りながら拙攻で得点につなげることができなかった。先発の石川も踏ん張ったし、やるべきことをやっていれば勝てるゲームだったと思う」と見ていた。 ヤクルトは審判の不手際による大混乱の末、後味の悪い幕切れで大事なゲームを落とした。2位の巨人とは0.5差で、首位の阪神とは3.5差。まだまだ優勝圏内につけているが、審判のとんだ不手際に巻き込まれ、後に尾を引くような痛い黒星になってしまったのかもしれない。