ポール・アーロンが悲願のFIA F2初優勝。宮田莉朋は6レースぶりの入賞果たす/第13戦レース2レポート
12月1日、2024年FIA F2第13戦ルサイルのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)がポール・トゥ・ウインでFIA F2初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は10位となり6レースぶりの入賞を果たした。 【写真】2024年FIA F2第13戦ルサイル フィーチャーレース表彰式 フィーチャーレースのグリッドは11月30日に行われた公式予選で決定され、アーロンが自身4度目のポールポジションを獲得。フロントロウ2番手に2025年はキック・ザウバーからF1デビューを果たすランキング首位ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)が並んだ。 2列目3番手にビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、4番手に今大会がFIA F2デビューのディーノ・ベガノビッチ(ダムス・ルーカスオイル/フェラーリ育成)が続いた。 今大会のタイヤコンパウンドは硬めのプライムタイヤがハード(ホワイト)、柔らかめのオプションタイヤがミディアム(イエロー)となる。なお、上位勢を中心に多くはオプションスタートを選択。なお、プライムスタート最上位は7番グリッドスタートのクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)となった。 西陽が差し込む気温21度、路面温度29度というコンディションのなか、32周(もしくは60分+1周)のフィーチャーレースはスタート。2番グリッドスタートのボルトレートが抜群の蹴り出しでターン1のホールショットを奪うと、2番手アーロン、3番手ベガノビッチ、4番手マルタンスと続く。 なお、ドライバーズランキング2位につけるアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)は、オプションタイヤで序盤の追い上げを狙ったが9番手から11番手にポジションダウンと苦しい展開に。 また、15番手スタートの宮田はプライムタイヤでスタートを迎えると、ジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、チームメイトのゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)の2台にかわされ17番手でオープニングラップを終えた。 宮田は5周目に同じくプライムタイヤを履くジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)をかわし16番手に浮上する。 ミディアムスタート勢は早々にタイヤのデグラデーション(性能劣化)に悩まされ、7周目から続々とピットイン。そんななか8周目のピットレーンでアンセーフリリースとなったリチャード・フェルシュフォー(MPモータースポーツ)とアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が接触。 この接触の影響か、アントネッリはステアリングトラブルを無線で訴え、ターン2のアウト側にマシンを止めバーチャル・セーフティカー(VSC)導入に。 なお、フェルシュフォーも接触で左リヤタイヤがホイールリムから外れてしまい緊急ピットインを強いられる。さらには、アンセーフリリースに対し10秒のタイムペナルティが課せられることに。 9周目にピットに入ろうとしていたボルトレートだったが、ピットレーンエントリー直前にVSCが宣言され、ボルトレートはピットエントリーのホワイトラインをカットするかたちでコースにステイとなり、のちに5秒のタイムペナルティとなる。 VSCはその後SCに切り替えられ、ボルトレート以下宮田を含むステイ組がピットイン。これで13周目のSC解除の段階で、オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が隊列を率いたが、ボルトレートは7番手/タイヤ交換義務消化組首位をキープ。そして宮田は11番手/交換組5番手という好位置でリスタートを迎えた。 リスタート直後は至るところでサイド・バイ・サイドの展開となったが、13周目のターン10で13番手争いを展開していたクロフォードとラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)が接触。ヴィラゴメスはコース上にマシンを止め、2度目のSC導入となる。 17周目にリスタートを迎えるが、その直前の最終コーナーでベアマンがアンダーを出してしまい、2番手のジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)がレコードライン前に首位に出てしまう。 デュルクセンはチームの指示もあり、ターン2でベアマンを首位に戻すが、大混戦のさなかだったこともあり、デュルクセンは4番手までポジションを下げてしまう。 18周目にはマルタンスとマックス・エスターソン(トライデント)が接触し、マルタンスはリタイアに。その後ろで今回がFIA F2ラストレースのマローニが単独スピンを喫するなど波乱は続いた。 宮田は20周目にベガノビッチにかわされタイヤ交換組6番手に後退する。宮田のオプションタイヤも限界が近づくなか、レースは60分+1周の時間レースでチェッカーを迎えることに。 残り9分、23周目のターン1でクリスチャン・マンセル(トライデント)が宮田をパス。これで宮田はタイヤ交換組7番手に後退。さらには残り5分、25周目に宮田はアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)にかわされタイヤ交換組8番手に後退する。 宮田のミディアムタイヤのデグラデーション(性能劣化)は厳しく、周囲からは2秒近くラップタイムが落ちるなか、宮田は6レースぶりの入賞を果たすべく、懸命な走行を続ける。 残り3分を切った27周目に全車がタイヤ交換義務を消化すると、ボルトレートが首位に返り咲く。ただ、5秒のタイムペナルティが科せられるなか、背後につけるアーロンは1.4秒差で2番手をキープする。 28周目、宮田はジョン・ベネット(ファン・アメルスフォールト・レーシング)にかわされ9番手に後退。ファイナルラップを迎える直前にはマローニにパスされ10番手に後退するが、11番手フェルシュフォーまでは5.7秒差、さらにフェルシュフォーは10秒のタイムペナルティがあったため、なんとか宮田は10番手を死守。 周回数にして30周目、ボルトレートがトップチェッカーを受けたが、タイムペナルティ適用によりアーロンが優勝を飾った。2位にハジャル、3位にボルトレートが続いた。なお、ドライバーズランキング首位のボルトレートとランキング2位のハジャルのポイント差は0.5点まで縮まっている。偶然にも、タイトル争いの可能性を残す3名が表彰台に顔を連ねたかたちだ。 15番手スタートの宮田は10位となり6レースぶりの入賞。この週末の目標であったトップ10入りを果たすことができた。 2024年のFIA F2、次戦となる第14戦/最終戦は、12月6~8日にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われる。F1直下のタイトルは誰が手にするのか、そして宮田の2024年シーズン締めくくりの一戦はどのような結末を迎えるだろうか。その行く末を見届けたい。 [オートスポーツweb 2024年12月01日]