睡眠障害を発症し働けず、生活保護に→保護猫カフェのボランティアで「自分を必要としてくれる場所を見つけた」
夫婦で運営する2階建てバスの保護猫カフェ「ひだまり号」(名古屋市西区、オーナー祖父江吉修さん)で、保護猫のお世話をするボランティアスタッフの反中啓人(たんなか・ひろひと)さん(38歳)。実は20代の頃から「ナルコレプシー1型」という病と闘っています。 【写真】子猫にミルクを飲ませるボランティアの男性、睡眠障害「ナルコレプシー」と闘っている 睡眠障害の一種であるナルコレプシーは、日中に過度な眠気を伴い、脱力発作などを引き起こす病気です。日本人は600人に1人がナルコレプシーの患者であるともいわれています。そんな病を持ちながら社会復帰を目指したいという反中さん。病気のことや保護猫カフェで活動を始めるきっかけなど、お話を聞きました。
21歳の時にアルバイト先で倒れた 半年後に「ナルコレプシー1型」と診断
――日中の過剰な眠気や突然眠り込む“情動脱力発作”を起こすという「ナルコレプシー1型」。病気に気付いたのは。 「飲食店のアルバイトをしていた21歳の時です。閉店作業に入っていて、バイト仲間と話しながら作業をしていた時に急に足が崩れ落ちてしまって。金縛りにみたいな感じになり、突然体が動かなくなったんです。『大丈夫?』『どうした?』という周りの声は聞こえていました…2、3分間くらいうずくまっていましたが、そのまま立ち上がりその後は何事もなかったように動けました」 ――病院には? 「翌日病院へ行きました。当時レントゲンを取っても全く異常がなく、病名が分かりませんでした。初めて倒れた後も何度も同じように崩れ落ちて倒れたので、数件以上病院を回りましたが、分からなくて。病名が分かるまで半年かかりました」 ――半年後に病名が分かったのですね。 「どうしたらいいのかと思いまして、症状からいろいろ調べてみました。夜眠れないとか、日中に眠くなるということが頻繁に起きていたこともあり、睡眠専門の病院に行けば分かるかもしれないと思って睡眠障害などの専門医がいる病院に足を運んだんです。そこでナルコレプシー1型だと判明。ただ根本的な治療がないようで、薬を飲めば完治する病気ではないことを知りました。原因不明で突然発症する病だとのこと。周りに同じ病気の人がいなくて、周りと同じ生活をしていてなぜ僕だけがこんな病気になるんだと、自暴自棄になりました」 ――お仕事に支障は。 「薬を飲んでいても仕事中に発作を起こして支障が出てきてしまい、転職を繰り返しました。努力しても治らない…この病気に一生付き合うしかないという覚悟で働き続けたんです。選ばなければいろいろな職場があって、いつか自分の病気を理解してくれるところがあるはずだと信じて働きました。でも、ついに3年ほど前、精神的にも肉体的にも限界を感じて働くことを中断し、生活保護を受けることに」