「後輩につなぐ走りを」 地区代表枠を励みに成長 全国高校駅伝
男子第75回、女子第36回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)が22日、京都市で開かれる。競技の普及などを目的に今大会から都道府県の代表に加え、地区代表枠が常設される。参加枠が58校に増え、地区代表で初出場を勝ち取った学校は出場の意義をどうとらえているのか。 【2024全国高校駅伝】女子出場校の顔ぶれ 愛媛県予選では女子の優勝候補に挙げられながら、2位と結果につなげることができなかった聖カタリナ学園。竹本英利監督(70)は「地区代表枠のおかげで選手はモチベーションを維持し、チームの『諦めない』精神を体現した成長につながった」と振り返る。人口減少が進み駅伝の競技人口も減る中、出場枠の拡大は「高校駅伝を目指す地元中学生にも好材料になるのではないか」と話し、競技人口の底上げにも期待感を示す。 四国代表の座をつかみ、中村海心(みなみ)主将(3年)は「初出場校らしく全力を出し切り、今後の後輩につなぐ走りをみせたい」と意気込んでいる。 九州は全九州大会を経て北九州(福岡、佐賀、長崎、大分)、南九州(熊本、宮崎、鹿児島、沖縄)で1校ずつ地区代表が決まる。 女子の北九州代表、自由ケ丘は、福岡県予選上位3校が進出する全九州大会の出場経験がなかった。だが都大路への地区代表枠が常設され、今春は「全九州大会に行きたい」と目標を設けた。 すると、前哨戦となる9月の大会で、地元が同じ北九州の格上チームを抑えて入賞。藤脇友介監督(51)は「選手が一層伸びた」と当時の手応えを語る。その後、県予選2位で進んだ全九州大会はエース川西みち選手(3年)が1区で区間賞を獲得。チームのベスト記録もたたき出し、創部21年で初の都大路を決めた。 競歩やトライアスロンなど長距離走以外の種目に力を入れる選手が多いのが特色。山香あおい主将(3年)は目標にチーム記録更新を掲げ、「明るく笑顔でたすきリレーしたい」と語る。 創立101年で女子の南九州代表として都大路にデビューする鹿児島。県予選ではこれまで、過去に2度全国優勝した強豪・神村学園の高く厚い壁にはね返されてきた。今年は、あえて全九州大会に照準を合わせて調整。宇都(うと)翔太監督(40)によれば「チームのモチベーションはアップした」といい、戦略が見事にはまった。 チームは「楽しく強く」がモットーで、食事制限などは課していない。女子のペースメーカーとして男子が引っ張る混成練習も特徴の一つ。男子もそれを走りのリズムにつなぐなど相乗効果を生んできたという。 登録メンバーのうち3年生5人は大学でも陸上を続ける予定。宇都監督は「都大路を走ることは選手たちにとって得がたい経験になる」と語り、「県によっては数校で予選をしているようなところもあり、(常設の)地区代表枠が裾野の広がりに寄与するのは間違いない」と期待した。【鶴見泰寿、井土映美、梅山崇】