『ミステリと言う勿れ』田村由美が菅田将暉の「考え抜いて演じた整」に感じたこと
2022年1月クールに菅田将暉さん主演のフジテレビ月9ドラマとして人気を博した『ミステリと言う勿れ』。Kin Gnuの主題歌『カメレオン』とともに大ヒットしたのはもう3年前のことになる。2023年には劇場版が公開され、KinGnuは再び『硝子窓』という新曲を書きおろしたことも話題を呼んだ。 【マンガと写真】「なぜ人を殺してはいけないか」『ミステリと言う勿れ』久能整の言葉 その人気の理由は様々あるだろうが、田村由美さんによる原作(2025年1月現在14巻まで発売中・「月刊フラワーズ」で連載中)をリスペクトし、大切にしながらドラマならではの実写化した。その化学反応によるものが大きいだろう。 久能整というキャラクターがどのように生まれたのか、ドラマに対してどのように感じたのか。2022年のドラマ放送時、FRaUwebでは1500万部を超えた原作を生み出した漫画家・田村由美さんにメールでインタビューさせていただいた。前編ではドラマの第1話を見た時の話から伺たインタビューを、地上波初放送に合わせて再編集の上お届けする。
第1回を見たとき、ちょっとこっそり泣きました
――改めてドラマ『ミステリと言う勿れ』第1回を見たときのシチュエーションと感想をお聞かせいただけませんでしょうか。 田村:映像はいただいていたのですが、普通に初回放送時にテレビで観たいと思って我慢して待っていました。「月刊フラワーズ」の編集の皆さんが場所を用意してくださって、大きなTVでみんなで観たんです。第一話は撮影見学もできなかったので、どんな映像になってるんだろうとドキドキで。いや、観入りました。ものすごく集中して観ました。途中の音楽が聴こえなかったくらい。観終わってみんなで拍手しました。 素晴らしいと思いました。スタッフ・キャストの皆さんが渾身の力で作り上げてくださったのが伝わりました。ちょっとこっそり泣きましたし。 菅田将暉さんが考え抜いて演じてくださる整を堪能しました。大隣署の皆さんも勿論、そして遠藤憲一さんのものすごさも。とんでもなく幸せな夜でした。 ――久能整くんというキャラクターを生み出してくださってありがとうございますと個人的に言いたくなるほど、この作品の温かさを感じています。久能整くんというキャラクターが誕生した経緯を教えていただけませんでしょうか。 田村:普段はわりとアクション過多なものを描いているんですが、この話は最初単発の読み切りだったので、じゃあいつもと違うものをやってみようと思ったんです。 ワンシチュエーションの閉鎖空間でただただ話す人を描こうと。 ……と思ってたらなんだかすんなり整という人が出てきました。造形に悩んだとか迷ったとかいうことが全くなくてほんとにすんなりそこにいたという感じです。 絵柄を少し変えてみたのと、普段なら多用するモノローグを整には一切使わない(ガロにはある)というやり方も、自分的にはちょっと冒険です。 でも第1話だけ読み切りの描き方なので、人となりがわかりにくいと思います。その後、連載形式になってからだんだん緩さが出てきて、感情の揺れとか好き嫌いとか多少内面も日常の暮らしも見えてきたかと。 だからおそらく菅田さんが第一話の整を演じる際、手がかりが少なく難しかったのではと思います。どういう人なのか何を考えてるのかが読み取りにくく、なのに大量にしゃべるという……。塊のような誠意と、天才と称される並外れた読解力・演技力で、整を生きてる人間にしてくださいました。 読者の皆さんが「整くん、整くん」と呼んでくださって愛してくださるので本当に嬉しいです。でもまだまだ私も整を知る道のりの途中です。