『ミステリと言う勿れ』田村由美が菅田将暉の「考え抜いて演じた整」に感じたこと
長く長く考えてきた問題への、自分なりの答え
――原作ファンの方も、ドラマで知った方も、整の言葉は本質をついていて、心に響くという声が溢れています。例えばゴミ捨ての話、親と子の話、いじめの話、虐待のこと、人を殺すということ……ハッとさせられる久能の「常々考えていること」に個人的にも読みながら付箋をつけまくりたくなっています。これらの言葉は田村さんが日ごろ思っていらしたことなのでしょうか。 田村:たとえば「なぜ人を殺してはいけないか」などは長く長く考えてきた問題です。現在思う自分なりの答え(?)を出してみました。今後また変わるかもしれません。普段からニュースだったり映画やドラマだったり、人との付き合いの中で引っかかったもの、言葉、事件についていろいろ考えたり突っ込んだりしています。基本的に突っ込み体質なんだと思います。それがうまくストーリーに絡められるようならセリフとして出したりしてます。 でもこれは本作に限ったことではなく、今までの作品でもやってきたことです。ただ今回はそれを言うのが整に集中しているので目立つのかもしれません。
人は弱くて壊れるのが当たり前
――2巻(ドラマ2話)で語られたいじめについての言葉や5巻(ドラマ6話)で語られた虐待についての言葉は、ジャーナリストの島沢優子さんが、「『ミステリと言う勿れ』が本質をつきすぎていてすごい」といじめと虐待それぞれ記事を執筆されました。島沢さんは慌ててコミック全巻大人買いしたそうです。 いじめについて、虐待については「優しさとは何か」を考えさせてくれる『ミステリと言う勿れ』の中心にあるテーマの一つだと勝手に感じているのですが、田村先生は虐待やいじめについてどのように意識しているのでしょうか。 田村:自分は専門的に勉強している人間ではないですし、普通に生きてきた中で感じたこと考えたこと、疑問点などを描いています。ですので専門にされているジャーナリストの方に取り上げていただけるなんて大変光栄で驚いています。ありがとうございます。 あらゆる問題において、アンガーコントロールを含む精神的ケアの重要性がもっと周知されればいいのになと思います。大きなことになる前に加害者サイドを救うことができれば被害者を作らなくてすむのになと。システムを作るような方達が「人は弱くて壊れるのが当たり前、でもその都度、方向修正をして治すこともできる。そしてそれは特別なことじゃない」と考えてくださったら……。 いじめはどう考えてもいじめる側に問題があるし、子供の虐待については母親を(金銭的精神的に)追い込まないことも重要だと思っています。 ただ、全てが一概には語れない、判断しにくい問題ばかりで、現場での扱いの難しさや対応される方の苦悩は自分では推量れないものだとも自覚しています。 ◇田村由美さんインタビュー後編「『ミステリと言う勿れ』田村由美が語るドラマを見たときに驚いたこと」では、実写化できるのかとも言われていた『ミステリと言う勿れ』がドラマ化され、生身の俳優さんたちが演じたことで受けた影響や、今後の話をお聞かせいただく。 (構成・文/FRaUweb 新町真弓) <土曜プレミアム>映画『ミステリと言う勿れ』 2025年1月4日(土) 21時~23時40分放送 ≪出演者≫ 菅田将暉 松下洸平、町田啓太、原 菜乃華、萩原利久 鈴木保奈美、滝藤賢一、でんでん、野間口 徹 松坂慶子、松嶋菜々子 伊藤沙莉、尾上松也 ・ 筒井道隆、永山瑛太 角野卓造、段田安則、柴咲コウ ≪スタッフ≫ 脚本:相沢友子 監督:松山博昭 音楽:Ken Arai 主題歌:King Gnu『硝子窓』(ソニー・ミュージックレーベルズ) 製作:フジテレビジョン、小学館、TopCoat、東宝、FNS27社 (c)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社
田村 由美、FRaU編集部