<2000万円あればとりあえず安心?><運用しないとダメ?>専門家「老後資金は情報に振り回されず、このポイントだけ抑えるべきで…」
厚生労働省の資料「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の平均受給月額は14万3973円だったそうです。少子高齢化や「老後2000万円問題」などで、老後の資金に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そんななか「無理な投資をしなくても、公的制度を賢く利用すれば<減らない財布>が手に入る」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんです。今回は、長尾さんの著書『投資ゼロで老後資金をつくる』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】お金に困らずに生きる「逆転のマネー発想術」を人気FPが伝授!長尾義弘『投資ゼロで老後資金をつくる』 * * * * * * * ◆「減らない財布」を手に入れると、「お金の心配」から解放される 70歳の女性で、ひとり暮らしをしている方からお金の相談を受けました。貯蓄は5000万円あります。 私はてっきり相続に関する相談だと思いました。ところが、老後資金について悩みがあるとおっしゃいます。 公的年金は、夫の遺族年金を含めて月額20万円あります。一方、生活費で毎月30万円を使っています。月に10万円(年間で120万円)の赤字です。その足りない分は、貯蓄を取り崩しているそうです。どこに問題があるのか、よくわかりません。 女性はこう訴えます。 「お金がどんどん減っていくのが心配で心配で。夜も眠れないのです」 この心配には驚きました。 月に10万円(年間120万円)ずつ取り崩していっても、5000万円のお金が尽きるのに41年かかります(120万円×41年=4920万円)。 つまり、111歳までは、老後資金がもつ計算になります。
◆老後のお金でもっとも重要なこと 彼女の場合、老後資金が足りなくなる心配はしなくても大丈夫です。それよりも、相続問題のほうが心配でしょう。 傍目には、笑い話のように聞こえます。とはいえ、「お金が減っていくこと」は、本人にとっては深刻な悩みなのです。 どんなにお金があったとしても、それを取り崩す生活は、預金の残高が減り続けます。預金通帳を見るたびにため息をついているようでは、不安は募るばかりです。不安を抱えながらの生活は精神衛生上よくありませんし、何より楽しくありません。 老後生活は、お金があれば安心というわけではないのです。 老後資金を2000万円、4000万円と準備したとしても、そのお金が減っていくことに変わりはありません。あとどのくらいもつのだろうという不安は、多かれ少なかれつきまといます。 世の中には、「老後資金を貯めることが大切」だの「老後資金をいかに運用すべきか」といった情報があふれています。 しかし、こうした風潮に惑わされてはいけません。 老後のお金でもっとも重要なことは「収支のバランス」です。「収支のバランス」が取れていれば、老後資金はそれほど必要ありません。そして、お金が減り続ける恐怖に苦しめられることもなくなります。 毎月、入ってくるお金と出ていくお金がトントン、もしくは収入が上回っているなら、「お金がなくなる」心配から解放されます。 逆に、バランスが悪くて支出が多いと、老後資金を取り崩すしかなく、お金は減っていくばかりです。
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