なぜ第三次越境ECブーム到来と言われているのか? アフターコロナ下の訪日外客の傾向や市場規模の推移などを解説
コロナ禍で活発化した越境EC市場。その後、世界の状況も大きく変わり、現在はアフターコロナ・ウィズコロナの状況下でインバウンドによる人流が復活しています。今回からは、インバウンド復活後の越境ECの展望について解説します。
越境ECがインバウンド消費の受け皿に
コロナ禍を機に、越境EC市場は大きく拡大しました。次のグラフは、コロナ禍当初の訪日観光客数とインバウンド消費の落ち込みを示したものです。人流の消失により、日本における2020年1月~3月の外国人観光客の旅行消費額は前年同月比で41.6%も減少しました。
この減少したインバウンド消費の受け皿になったのが「越境EC」でした。観光庁が実施したアンケート調査によると、コロナ禍で消失したインバウンド消費はオンラインに移り、訪日外客の中心だった中国は36.0%、台湾でも21.0%がオンラインに移行しています。
■ 第三次越境ECブームでは、欧米・ASEAN諸国での消費活発化 こうした環境・市場の変化により、越境ECに取り組む企業数も大きく増加しました。コロナ禍以降の越境EC市場の動きを、BEENOSは第三次越境ECブームの到来と位置付けました。 2008年頃からの第一次越境ECブームではEC企業が中国市場獲得を狙い、現地ECモールへの出店が活発化。2014年頃の第二次越境ECブームは、為替が円安に振れたこと、インバウンドの増加により中華圏の観光客の「爆買い」に注目が集まり、その旺盛な消費意欲の取り込みを狙った動きが中心でした。どちらも中華圏を中心とした盛り上がりだったことが共通しています。 一方、第三次越境ECブームは世界的なEC需要の増加が背景にあり、中国だけではなく欧米・ASEAN諸国からの消費も活発化していることが、これまでとの越境ECブームとの大きな違いです。
人流復活後の越境EC市場動向は?
コロナ禍直後、2020年の越境EC消費動向をBEENOSでは「日本ロス消費」と定義しました。「日本ロス消費」における越境ECは、消失したインバウンド消費の取り込みという役割、訪日できないことによって途絶えた人流に対し「忘れられない関係性作り」という側面がありました。この連載でも、その関係性作りの施策の1つとしてオンラインツアーにおける越境の活用事例を紹介しています。 インバウンド消費のオンライン化という海外消費者の動き、これまで越境ECに消極的だった日本企業がその消費の取り込みと、海外消費者とのタッチポイント創出のために越境ECに参入もしくは力を入れ、国内の越境EC市場が拡大しました。 BEENOSが提供する越境ECサービス「Buyee(バイイー)」の流通総額も大きく伸長。2019年10月~2020年9月期の流通総額は、2018年10月~2019年9月期と比較すると48.7%増と過去最高を更新しました。