70歳の母が「自宅を担保にお金を貸してもらえる」と連絡してきました。高齢で無職の人にお金を貸すなんて本当に大丈夫でしょうか?
人生100年時代。老後の資金に困らないためにも、しっかりとした情報収集が欠かせない時代になっています。そこで、最近よく聞く「リバースモーゲージ」や「リースバック」とはどのような制度なのか、気になっている人もいるでしょう。「たった5日で相続対策 子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための」(ダイヤモンド社刊)の著者でマネージャーナリストの税理士、板倉京さんが解説します。 【画像】親族が亡くなったあと最も困ったタイミング・トップ5 相続や不動産関連は何位? ◇ ◇ ◇
「長生きするとお金が足りなくなる」と不安に思う母
「母が、自宅を担保にお金を貸してもらえるので、私と姉に同意書を書いてほしいと連絡してきました。けど、母のような高齢で無職の人にお金を貸すなんて、なんだか怪しいですよね……」 今回の相談者は、田中美保さん(42歳)。美保さんは、夫と2人の子どもとの4人家族で、夫の実家の近くに住んでいます。美保さんの父親は7年ほど前に他界。母親は現在70歳で、都内の一軒家でひとり暮らしをしているそうです。 「両親は自営業だったため、年金が少ないのです。生命保険や父の遺産はすべて母に相続してもらったのですが、『長生きするとお金が足りなくなる』と不安に思っているようなんです」 自宅を担保に銀行から老後資金を借りる、「リバースモーゲージ」という制度があります。お母さんの言っているのは、このことでしょう。 美保さんの母親のように、長生きリスク・老後資金に不安を持つ人が増えています。実際に、老後資金が足りなくなれば「家を売ってでも現金を作るしかない」ということにもなりかねません。しかし、住み慣れた家を高齢になって売却し、別のところに移り住むのは、簡単なことではないでしょう。 そんなときに使えるのが、この「リバースモーゲージ」です。 通常、高齢で収入のない人に銀行はお金を貸してくれません。しかし、「リバースモーゲージ」は自宅を担保にすればお金を貸してくれて、しかも生きているうちはローンの返済をしなくていいというのです。 ローンを返すのは、借りた本人が亡くなったあと。担保にしていた自宅を売って、一括返済します。生きている間に払うのは利息だけです(金融機関によって返済方法は異なります)。自宅を手放したくない場合は、借入金を返済すれば家を取り戻すこともできます。 「リバースモーゲージ」を利用すれば、生きている間に自宅に住み続けながら、老後資金を手にすることができるというわけです。