数学教師「お前らに好かれる気なんてない」、「ハズレ」だと思った先生が恩師に変わったワケ…教育系YouTuber・葉一
YouTubeで小学生から高校生向けの授業動画を配信し、大人気の葉一さん(39)。中学でのいじめから解放され、高校生活はガラリと変わったものになったという。(読売中高生新聞編集室 塩島祐子) 【写真】小学生の頃の葉一さん
「お前らに好かれる気なんてない」
「高校入学前の春休みに、身長が5cmくらい伸びる一方、体重も10kgほど落ちました。理由はよくわからず、自分でも驚いたのですが、それまでの過度なストレスから解放されたからなのかなと思っています。ぽっちゃり系だった体が引き締まり、髪の毛や眉毛(まゆげ)を整えたこともあって、見た目はずいぶん変わりました。
高校に入学すると、クラスの男子たちが『カッコイイね』と言ってくれたり、髪形をほめてくれたりして。周囲からかけられる言葉が変わったことで、少しずつ自己肯定(こうてい)感が上がり、自信が持てるようになりました」
そして、ある一人の教師との出会いが、葉一さんの人生を変える。
「松崎健一先生(数学担当)の最初の授業のことを、今でもよく覚えています。先生は自己紹介のなかで、『俺はお前らに好かれる気なんてないから』と言い放ったんです。正直、『うわっ、この先生ハズレだ。最悪…』と思いましたね。
でも、授業を受けていくうちに、だんだん考えが変わっていきました。まず、授業がとてもわかりやすい。私は元々、数学が得意ではなかったのですが、松崎先生の説明を聞いていると頭の中が整理されて、問題が解けるんです。
そして、板書がとてもきれいでした。『板書という作品を残すのが仕事だと思っている』と話されていたこともありました。いま、私が授業動画の板書の字を美しくしようとこだわりを持っているのも、松崎先生の影響です」
先生は授業以外でも、丁寧に生徒たちと向き合ってくれたという。
「休み時間に質問に行くと、その場で必ず対応してくれました。難問でもすぐに解いて、説明してくれるんです。『後にして』と言われたことはなかったですね。他の仕事があっても手を止め、目の前の生徒を優先してくれました。