なぜ同じ無観客で競馬、競艇はほぼ通常開催され競輪だけ中止が目立つのか?
なぜ競輪だけが中止の決断を下しているのか。 競輪の開催の可否については、地方競馬や競艇、オートレースなどと同様に施行する各自治体の首長の判断に委ねられている。 JリーグとNPBが合同で立ち上げている「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チームは、無観客試合であっても「移動時と、宿泊時に感染リスクがあること」を明らかにしている。1レースを9人で走る競輪は、ひと開催に100人を超える選手が全国から移動する。それは都市間の移動自粛を要請している政府の指針に反する。 レース期間中は専用宿舎に缶詰めになるが、もし、移動時に感染してくるような選手、関係者がいれば、クラスター感染を引き起こす危険もある。中止の決断はやむを得ないが、ただ北は函館から南は熊本まで競輪場が全国44カ所に点在することもあって足並みは乱れている。 徹底した検温、マスク着用、宿舎では同部屋人数を減らし、飲酒を禁止するなど、徹底した管理をした上で開催している場所もある。 別の競輪記者が言う。 「武雄では選手を半分に分け、宿舎と近くのホテルに分宿する措置を取りました。当初の売り上げ目標を50億円から18億円に下げてまで開催にこだわった。競輪場はどこも疲弊していますから開催にこだわる気持ちも分かります。競輪は落車などケガも多く、病院などの医療側に迷惑は掛けられないとの配慮はある。しかし、危険のリスクは競馬も競艇も同じ。静岡競輪が中止で、近くの浜名湖ボートが開催しているのはおかしい」 一方で、競馬、競艇は、ほぼ通常通りに開催されている。競馬は東西の人馬の移動を抑え、騎手を宿舎に缶詰めにせず、自宅、ホテルからの通いをOKにするなどの対策を取った。競艇もビッグレース以外はできるだけ地元選手を集めて開催するなどの対策を取っていて、競輪に比べて参加選手も半分の50人くらいに収まるという競技特性もある。 それにしても競輪だけが中止になっていることに違和感はある。 今のところ競艇関係者に感染者は出ていないが、競輪では、玉野競輪で4月上旬に参加選手の親族に陽性反応者が出て中止になったり、評論家に陽性反応者が出たりした。だが、競馬でも複数の関係者に陽性反応者が出ているので感染リスクはそう変わらない。