カナダ首相辞任で後継争い始まる-前財務相や前英中銀総裁ら有力
(ブルームバーグ): カナダのトルドー首相は6日、首相と与党自由党の党首を辞任すると発表した。これにより自由党党首の座を巡る争いが始まり、勝者は第24代カナダ首相に就くことになる。党幹部は声明で、今週にも全国役員会を招集し、新党首選出に向けた全国規模かつ民主的なプロセスを開始すると発表した。
有力な候補者は以下の通り。
クリスティア・フリーランド氏
フリーランド氏(56)ほどトルドー氏と親密な関係を築いた閣僚はいない。同氏はトルドー氏の在任期間中、国際貿易相や外相、財務相などの要職を歴任した。女性として初めてカナダの財務相に就任したほか、5年間にわたり副首相も務めた。
ただ、昨年12月16日に辞任を発表。トルドー氏がトランプ次期米政権との貿易戦争に備えるのではなく、「高額な政争の具」に注力しているとし、トルドー氏のリーダーシップに対して最も深刻な課題を突きつけた。
カナダ西部アルバータ州でウクライナ人の母親のもとに生まれたフリーランド氏は、ハーバード大学でロシアの歴史と文学を学び、そこで後に米財務長官となるラリー・サマーズ氏と親交を築いた。その後、ローズ奨学金を獲得しオックスフォード大学に進学。同氏のウェブサイトによると、英語とフランス語、ウクライナ語、ロシア語、イタリア語の5カ国語を話す。
フリーランド氏はジャーナリストとなり、35歳までに英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)やカナダ紙グローブ・アンド・メールで上級職に昇進。その後、トルドー氏から声がかかり、2013年に国会議員に当選した。
フリーランド氏にとって、トルドー氏らとの親密な関係は政治的にマイナスになる可能性がある。フリーランド氏の突然の辞任は、トルドー氏と距離を置き、自身のリーダーシップへの道を切り開きたい表れだとみられている。フリーランド氏は他の候補者よりも有権者の中で高い知名度を誇っている。
マーク・カーニー氏
カナダ極北に位置するノースウェスト準州生まれのカーニー氏(59)はアルバータ州で育ち、フリーランド氏と同じくハーバード大学とオックスフォード大学に進学。政界入りは一度もないが、トルドー氏は下院選への出馬か政府の要職に就くよう働きかけていた。