全日本大学駅伝で見えた箱根での青学ライバル6校
10月10日に出雲駅伝、11月6日に全日本大学駅伝が行われ、V候補だった青学大が連勝した。正月の箱根駅伝が近づきつつあるが、第93回大会はどんな戦いが待っているのだろうか。 出雲駅伝はライバル校が主力を欠いたとはいえ、青学大の強さが際立ったレースになった。ルーキー鈴木塁人が1区を区間5位と好走。最終区間に配置されたエース一色恭志にタスキを渡す前にトップを奪い、悠々と連覇を果たした。全日本でもアンカーを務めた一色がトップ早大との49秒差をあっさりと逆転。チームは初優勝に輝いている。 青学大は出雲と全日本で合計10人の選手を起用しているが、その他にも前回3区区間賞の秋山雄飛、関東インカレ2部ハーフマラソンを連覇した池田生成が控えており、総合力はナンバー1だ。加えて、箱根では一色の3年連続2区が濃厚。1区で出遅れない限り、現役日本人学生で「最強」といわれる“絶対エース”が3連覇への流れを作るだろう。 今大会から4区と5区がそれぞれ2.4km延長・短縮することも青学大にとってプラス材料だ。「山の神」と呼ばれた神野大地(現・コニカミノルタ)が卒業したものの、5区の影響力が下がり、反対に4区の重要度がアップするからだ。4区には、全日本2区で7人抜きを演じた田村和希ら区間賞を狙える選手が入る見込み。他校に「山の神」クラスのクライマーが登場したとしても、4区と5区のトータルで考えると、大きく遅れる不安は少ない。往路をトップで折り返すことができれば、優勝は確実と見ていいだろう。 原晋監督も「全日本は良くない選手もいましたが、練習の流れはできているので、箱根に向けての不安はありません。課題は山(5区)だけ。その他はスタンバイできています!」と学生駅伝3冠と箱根3連覇への自信を口にしている。 大本命のアオガクだが、まったく弱点がないわけではない。全日本でも露呈しているが、追いかける展開になると、持ち味のスピードがあだになっているのだ。前に追いつこうという気持ちがオーバーペースを招き、終盤に失速。全日本の4~6区は、このパターンにはまり、思うようにタイムを稼ぐことができなかった。 また原監督のコメントから推測すると、「5区」をどうするのか迷っている。前回、後半に遊行寺の坂がある8区でダントツの区間賞を獲得した下田裕太は上りに強い選手で、出雲1区で健闘したルーキー鈴木も5区を希望しているという。候補選手はいるものの、他区間のバランスもあるため、決めかねている状況なのだろう。 箱根駅伝は1区間の距離が20km以上あり、わずかなミスが大きなタイムロスにつながる。青学大の自滅を誘うようなレースを仕掛けることができれば、他の有力校にもチャンスが出てくるはずだ。