全日本大学駅伝で見えた箱根での青学ライバル6校
青学大のわずかな“傷口”を攻めることができるとしたら山梨学大と駒大だろう。 山梨学大は出雲で2位、全日本で3位に入っているチーム。両駅伝ではドミニク・ニャイロをアンカーに起用しているが、箱根ではケニア人留学生の2区起用が有力だ。 前回、ニャイロは1年生ながら花の2区を区間歴代8位タイの好タイム(1時間7分20秒)で走破。ハーフマラソンで学生歴代2位タイとなる1時間0分50秒をマークして、トラックの1万mで27分台にも突入している。全日本では8区19.7kmで青学大・一色に1分05秒差をつけて区間賞を獲得しており、箱根でも爆走が期待できる。 前回は1区でトップ青学大に1分13秒遅れたために、ニャイロで首位に立つことができなかった。しかし、今季の出雲と全日本は1区を上田健太が務めて、ともに青学大に先着している。「1区上田、2区ニャイロ」というオーダーを組めば、“ロケットスタート”で抜け出すことができる。佐藤孝哉、市谷龍太郎ら日本人選手も充実しているため、そのまま逃げ切りを図りたい。 駒大は全日本でエース中谷圭佑を欠き、4位に終わったが、「中谷がいれば3位にはなったと思います。中谷が復帰して、チームが一丸となれば箱根はおもしろい戦いができるでしょう」と大八木弘明監督は手ごたえをつかんでいる。 前回2区4位の工藤有生、同3区2位の中谷、同5区4位の大塚祥平が強力で、エース中谷が完全復活して、1区に入ることになれば、青学大を脅かすことができるだろう。中谷のポテンシャルなら、青学大のスターターを1分近く引き離すことも可能だ。前回の2区で青学大・一色と工藤のタイム差は29秒。この作戦が決まれば、2区終了時で青学大の前を走っていてもおかしくない。3~4区で青学大に逆転を許したとしても、5区に大塚を起用すれば、トップを奪うこともできる。 出雲を沸かせた東海大と、全日本で青学大を苦しめた早大も展開によってはトップ争いに加わる可能性がある。東海大は出雲で1~3区に1年生トリオ(鬼塚翔太、舘澤亨次、關颯人)を並べると、3区關が区間賞の快走で抜け出して、5区の終盤までトップを走った。全日本は關が感染性胃腸炎のため欠場したこともあり、7位に終わったが、現時点で5000m13分台は14人(1万m28分台は8人)。選手層だけなら青学大に負けていない。ただし、1年生は20km以上の距離が未知数なだけに、本当の勝負は来年以降になりそうだ。