【40代・50代「更年期治療」をアップデート!】ホルモン補充療法(HRT)は、年齢に関係なく受けられるってホント?
ホルモン補充療法のやめどきは自然にやって来る!
次に覚えておきたいのは、ホルモン補充療法はいつまで続けるか、いつやめたらいいのか? 「ずばり、つらい症状が緩和されたときが卒業のときです。これもまた年齢ではないんですよね。ホルモン値を検査して、やめどきを決めるわけでもありません。 確かに、血液検査でホルモン値は見ていますが、それはその人の治療の経過状況を見るため。保険診療でのホルモン補充療法はあくまで症状改善のためのもので、エストロゲンの数値を上げるのが目的ではないのです。自由診療ではホルモンの数字で調節する場合もあるのかもしれませんが…。 例えば、貼り薬『エストラーナテープ』を2日に1枚貼っている人のエストロゲン値は、皆さん全然違う。ホルモンの変動にもよりますし、血液濃度に反映されない可能性もあるので、あまり指標にはならない。 エストロゲン値が低いままなのに、症状はもうばっちり改善している人もたくさんいます。しかも、閉経間際ではホルモンのアップダウンも激しいですからね。 エストロゲンの数値に一喜一憂しないでほしいなと思っています」 ただ、卵巣に「ホルモンを出して」と指令する卵胞刺激ホルモン(FSH)は、だいたい下がる。それは改善の指標、ちゃんと薬が体に届いているという確認になるそう。 「ホルモン補充療法は、あるときパタリと突然やめることはないですね。薬の量を減らしていって、減量しても問題ないと確認しながら卒業するのが普通です。 もし、量を半分にしたところで『なんだかまた汗が出やすくなりました』となったら、ちょっと戻しておこうか、という感じで調整していきます。 え、もっとずっと続けたい? でも、皆さん、必ずいらなくなってくるんです。自分で『もういらないかも』とわかる。『これからは薬をお守りみたいな感じで持っておきたい』と言われたりもします。それが自然なやめどきかもしれません」 《Point》 ・ホルモン補充療法は、つらい症状の軽減・症状が改善されたとき、徐々に薬を減らして卒業するのが自然
【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医、医学博士。 浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/Shutterstock 取材・原文・画像制作/蓮見則子