サイバーエージェントが挑む「Tech DE&I」の舞台裏:神谷優
9月25日発売のForbes JAPAN11月号では、テクノロジー領域で世界を変えるべく躍進する女性、ジェンダーマイノリティたち30人に光を当てた「Women In Tech 30」を発表した。2024年にはじめて開催し、23人のアドバイザリーボードに協力いただきながら開催した。 「さらなる成長のための開発組織構築には多様性が欠かせない。会社としてDE&I(多様性、公平性、包摂性)について本格的に取り組もう」。技術担当役員からの後押しもあり、2023年1月、技術担当役員直下でサイバーエージェント「Tech DE&Iプロジェクト」が始動。神谷優はそのLeadに就任した。神谷が最初に取り組んだのは、開発組織に在籍する1000人以上の全エンジニアメンバーに向けたジェンダーギャップ勉強会だった。 以降、社内向けにはマネージャー職を対象に「無意識バイアスワークショップ」を開催。社外向けには、女性エンジニアコミュニティ醸成や学ぶ機会提供のための大規模イベント「Women Tech Terrace」の開催、女性にもエンジニアという選択肢をもってもらうべく女性を対象としたインターンシップの開催、女子中学・高校・大学生向けのオフィスツアーなど数々の施策を実施。「企業にとっては、多様性のある組織やそれに伴うプロダクト開発が『企業の競争力』につながります。業界全体のジェンダーギャップ解消に向けた『社会的意義』のある取り組みでもあります」(神谷) 神谷は大学卒業後、エンジニアとして同社へ入社。スキル不足にコンプレックスを抱き、早く技術力を上げなければと奔走し、多様性には無関心だったという。しかし、産休・育休から復帰して参画したプロジェクトで、ライフ・ワーク・バランスを重視するなかで、「戦力になっていないかも」と自己肯定感が徐々に下がっていった。そんなキャリアに悩んでいたときに出合ったのが「ジェンダーギャップ」の問題だった。「私が貢献できることはこれかもしれないと思った」(神谷)。 NPO法人Waffleでプロボノ活動をしながら、多様性やジェンダーギャップについての知識を学び、ロールモデルの可視化のために自身の経験を共有する機会として登壇などを重ねた。それが契機となり、技術担当役員と話をするなかで「Tech DE&Iプロジェクト」の発足につながった。 「勉強会の直後、弊社主催の技術カンファレンスの運営メンバーから『登壇者が全員男性メンバーで、女性から登壇したいという応募がこない』という相談がありました。技術の最前線にいる人が共感してくれ、行動を起こしてくれた。地味に見えるかもしれませんが、大事な一歩で、とてもうれしかった。プロジェクトを通して、開発組織、そしてIT業界の『DE&Iの土壌』を豊かにしていきたい」
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