駅名とテーマソングで知名度抜群「東武動物公園」どんなところ? 広大な「ハイブリッド・レジャーランド」の裏側
■厳重なバックヤード 体重が4~7トンになるという巨大なアフリカゾウの飼育エリアも見せてもらった。 かつては柵の中に飼育員が入って世話をする“直接飼育”だったが、危険性も高く最近では行われなくなっていた。しかしそれでは、たとえば足の裏などのケアが難しい。そこで、バックヤード側に巨大な柵を設け、扉から足を出してもらってケアをすることができるようにしたのだとか。 「ゾウは長い鼻を自由自在に使います。柵から鼻だけ出してエサをつかんで食べたり、ひまつぶしに自分の糞を鼻でつかんで投げたりするんです」
ゾウの飼育員、疋田喬之さんはこう話してくれた。ゾウさんの意外な生態を知ることができるのも、動物園のおもしろいところだ。 と、急ぎ足ながら園内を巡ることができた。最近では人気アニメのコラボイベントなども行っているといい、園内のあちこちでアニメキャラクターのイラストパネルを見かけることができる。アニメのファンならば、飽きずに歩くことができそうだ。 「こうしたコラボイベントをすることで、いままでは来園しなかったような方も来てくれる。せっかく来たのだからと動物やアトラクションも楽しんでもらえます。そうした体験を通じて東武動物公園に興味を持ってもらえたら、と思っています」(鈴木さん)
■どこから訪れる人が多い? 東武動物公園のゲートは東と西にそれぞれあって、東側が東武動物公園駅に近い。西側は駅から歩けるような距離ではないが、代わりに巨大な駐車場が設けられている。クルマで来るなら西ゲート、電車で来るなら東ゲート、という役割分担だ。 「東武動物公園駅の名が知られているおかげなのか、都心のほうから来園されるお客さまもかなりたくさんいらっしゃいますよ。足立区にお住まいの方が、実はとくに多いんです」(鈴木さん)
東武沿線に暮らし、休日は東武の電車で東武動物公園へ。言われてみれば、よくできた“沿線開発”だ。が、ここでどうしても気になるのは、電車でやってきて東ゲートから入ったお客は、園内西側に行くまでに2kmも歩かねばならないのだろうか。 「もちろん園内にはみどころがたくさんあるので、歩いて移動しても退屈はしないと思いますが、東西を結ぶシャトルバスも通っています。また、園内には東ゲートから中央までを結ぶ小さな鉄道、『太陽の恵み鉄道~パークライン~』も通っています」(鈴木さん)
■終着駅でなく玄関口 東武動物公園駅は、ただの“東武スカイツリーラインの終点”などではない。駅を降りて、東武動物公園に近い西口に向かう橋上の自由通路には、動物公園へのワクワクを高めてくれるイラストがある。かつて東武鉄道の工場があった西口一帯も、いまはすっかりキレイに様変わりしている。 東京・北千住駅から東武動物公園駅までは、急行に乗って30分ちょっと。特急ならば、30分もかからない。そこから歩いて約10分。ちょっとしたスリルと動物の癒やしと、そして学び。丸一日いても飽きることがなさそうだ。
鼠入 昌史 :ライター