富士山遭難が大幅増加 、昨年は世界遺産登録の年に次ぐ104件
静岡、山梨両県警によると、昨年の富士山遭難は104件。静岡県警で前年比24件増の86件、山梨県警で同10件増の18件となり、前年を大幅に上回った。富士山では、世界文化遺産に登録された2013(平成25)年に113件の遭難が発生しているが、昨年は2013年に次ぐ発生件数となった。
閉山期間の遭難、静岡県警「増加の兆候見られる」
静岡県警の山岳遭難事故発生状況によると、富士宮口、須走口、御殿場口などの登山ルートで昨年1年間に発生した遭難は86件、総数で92人にのぼり、うち4人が死亡している。 発生は8月が46件ともっとも多く、次いで7月が24件。7、8月の夏山シーズンに集中している状況だが、山開き直前の6月にも4件、閉山となる9月に6件、雪解けシーズンの4月にも2件の遭難が発生しているほか、冬季にも遭難は発生している。 目的別では、74件が観光登山による遭難、8件は登山による遭難、3件が業務での遭難、不明1件となっている。夏山シーズンに観光登山者が遭難するケースが顕著だが、冬季を含めオールシーズンで遭難が発生している状況だ。
山梨県側からの登山ルートの遭難についても、山梨県警によると昨年は18件にのぼり、世界文化遺産に登録された2013年の15件を上回った。山梨県側は、昨年10月に1件、11月に1件、12月に2件と登山道が閉鎖された後も死亡事故を含む遭難が続発しており、今年1月1日には3件の遭難が発生、2人が死亡する事態となっている。 河口湖から富士山5合目までを結ぶ有料道路、富士スバルラインが原則、通年通行となっているため、冬季は山梨県側から富士登山をするケースが多いという。夏山シーズン以外の富士登山については、2013年に富士山関係機関で組織する富士山における適正利用推進協議会が「富士登山における安全確保のためのガイドライン」を策定。登山者への啓発を行っているところだが、今年1月に静岡県警が発表した山岳遭難事故発生状況報告書ではガイドラインの形骸化を指摘しており、夏山シーズン以外の時期の遭難について「今後大きく増加する兆候が見られる」と警戒感をあらわにしている。