エーオン・ネクスト・ヴェローチェ・レーシングのケビン・ハンセン&モリー・テイラー組が完全制覇/エクストリームE第3-4戦
創設4年目にて、早くも最後のシーズンを迎えたワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』の第3戦と第4戦が、スコットランドにて7月13~14日に開催され、イギリスを本拠とするE.ON NEXT Veloce Racing(エーオン・ネクスト・ヴェローチェ・レーシング)のケビン・ハンセン/モリー・テイラー組が初日セッション完全制覇からの連勝を決め、週末パーフェクトを飾っている。 【写真】JBXEはソーレンセンがロールオーバーでクラッシュを喫してしまう 来季より技術的発展を果たした“水素燃料電池スタックを搭載したレーシングシリーズ”として『エクストリームH』に刷新されることが決まっている同選手権だが、レースウイークを前に現地ロンドンではバッテリーEVとして戦ってきた『オデッセイ21』に代わる『パイオニア25』と名付けられた新型レース車両もお披露目された。 そこからスコットランドへと移動し、旧グレンマックロック露天掘り炭鉱跡地でシーズン再始動を迎えたチャンピオンシップでは、今季NASCARカップシリーズでトヨタ陣営にスイッチして新型『トヨタ・カムリXSE』を走らせつつ、このオフロード選手権にも新規参入を果たしたレガシー・モーター・クラブ(レガシーM.C.)が、チーム共同所有者でもあるジミー・ジョンソンの代役としてパトリック・オドノヴァンを起用した。 「このレガシーM.C.からシリーズデビューを果たし、初めてオデッセイ21でレースを戦えることにとてもワクワクしている」と意気込みを語ったイギリス出身のオドノヴァン。 「かなり長い間チャンピオンシップドライバーを務めてきたから、このクルマ(オデッセイ21)のことを本当によく知っていると感じる。学んできたことを披露したいし、チームは開幕戦で素晴らしい可能性を示した。あのジミー・ジョンソンのために“Hydro X Prix”でレースをするのは素晴らしい気分だよ」とWorldRX世界ラリークロス選手権の表彰台経験者であり、国内選手権では“2冠”を誇る19歳。 同じく開幕戦ではサウジアラビア出身のダニア・アキールを起用していた、ジェンソン・バトン率いるJBXEも、アンドレアス・バッケルドの新ペアに北米出身アマンダ・ソーレンセンを抜擢している。 「チームのホームレースである英国で、彼らJBXEのためにチャンピオンシップに復帰できて本当にうれしい」と、昨季まで『NO.99 GMCハマーEVチップ・ガナッシ・レーシング』のエントリー名で参戦してきた名門チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)で、表彰台獲得経験も持つソーレンセン。 ■日曜はアクシオナ・サインツがヴェローチェに迫る 「前回スコットランドでレースをしたときは本当に強くて競争力を発揮できたし、またここで表彰台に上がれたら最高ね。でも一番重要なのはアンドレアス(・バッケルド)とともに力強いパフォーマンスを発揮し、チームを順位表の上位に押し上げることよ」と、本国ではナイトロクロスのサポートカテゴリーやフォーミュラ・ドリフトでも名を馳せるソーレンセン。 こうして迎えた本戦は、土日ダブルヘッダーともに同じ顔ぶれが表彰台を占める結果となり、金曜のフリープラクティスで最速を記録したエーオン・ネクスト・ヴェローチェ・レーシングが、テイラーとハンセンともに土曜日もタイムボードの最上位を独占。予選ヒートと決勝の双方を制覇し、この第3戦では“帝王”カルロス・サインツのアクシオナ・サインツXEチーム(ASXE)を抑えて『コンチネンタル・トラクション・チャレンジ』のスーパーセクターでも最速を記録するなど、セッション完全制覇を成し遂げた。 明けた日曜は、ヒート勝利やスーパーセクターベストもなく状況が変化したものの、スタート位置を決める『グリッドプレイ』でセオリーのインサイドではなく、左側アウトサイドを選択したハンセンの判断がピタリとハマり、序盤で大量リードを築く展開に。 後半スティントを担当したテイラーも、今季活動休止を決めたX44から移籍したASXEのフレイザー・マッコーネルにテール・トゥ・ノーズまで迫られ、フィニッシュを目前にマージンを削られる苦しさを経験するも、冷静なディフェンスとマネジメントを披露した初代エクストリームE王者がトップの座を明け渡さない強さを見せつけた。 「今日は本当に激戦だったわね。このシリーズでは、とくに今回のように競争が激しく、グランドファイナルに進出するための戦いは狂気じみていて(笑)、どんな結果になるかわからない。ファイナルに進出すれば、すべてが一掃されてしまう」と僅差のバトルを振り返った豪州ラリー選手権元王者のテイラー。 「ファンの応援のおかげでグリッドプレイのスタートラインで良い位置につけることができた。コース上で速く走ることは重要で、週末を通じてそうしたいけれど、プレッシャーのなかでそれを実行しなければならなかったし、今は素晴らしい気分。チャンピオンシップ首位で(チームの苦手な)サルディニアに向かうし、残りのシーズンに向けて頑張り続ける必要があるわね」 テイラーの言葉どおりこれでヴェローチェ・レーシングがランキング首位とし、週末連続3位表彰台のアンドレッティ・アルタウィキラット・エクストリームE、ケイティ・マニングス/ティミー・ハンセン組がランク4位に浮上した2024年のエクストリームE“シーズン4”は、続く第5-6戦の舞台として9月14~15日におなじみイタリア・サルディニア島を訪れる。 [オートスポーツweb 2024年07月18日]