レッドブル育成マルティがFIA F2初優勝。宮田莉朋は健闘もペナルティで後退/第14戦レース1
12月7日、2024年FIA F2第14戦ヤス・マリーナのスプリントレース(決勝レース1)が行われ、ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は7番手チェッカーも、ペナルティで11位となった。 【写真】FIA F2第14戦ヤス・マリーナ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ) スプリントレースの上位10グリッドはリバースグリッドにより決定され、10番手タイムを記録したアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)がポールシッターとなった。 フロントロウ2番グリッドにジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、そして2列目3番グリッドに宮田、4番グリッドにマルティが続いた。 なお、11番グリッドからスタートを迎えるはずだったアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)は体調不良に見舞われ、スプリントレースへの出走を取りやめたことがプレマ・レーシングからアナウンスされている。 タイヤ交換義務のない23周のスプリントレースは現地時間16時15分開始のフォーメーションラップを経て、気温27度、路面温度35度となるなかスタートを迎えた。 抜群の蹴り出しを見せた4番グリッドのマルティがターン1のホールショットを奪うと、2番手にデュルクセン、3番手にコルデールと続いた。 3番グリッドの宮田はスタートの蹴り出しが悪く、ターン1飛び込みで8番グリッドスタートのクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)、6番グリッドスタートのアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)と3ワイドとなるも6番手でターン2を迎えた。 ただロングストレートエンドとなるターン6への飛び込みで、宮田のフロントノーズがビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)のリアにヒット。 マルタンスはスピンを喫し、宮田も混乱のさなか9番手にポジションを下げてしまう。さらに、この追突で宮田には10秒のタイムペナルティが課せられることに。続いて宮田は2周目にハジャルに先行を許し10番手に後退する。 一方、9番グリッドからスタートを迎えたランキングトップのガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)は毎周確実にオーバーテイクを決めて、4周目には3番手に浮上。 さらにマイニをパスしたボルトレートは6周目に2番手に浮上するが、この時点でトップのマルティとは4秒近いギャップが開いていた。 10周目、宮田はマイニをパスして9番手に浮上。ただ、背後にルーク・ブラウニング(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)、オリバー・ゲーテ(MPモータースポーツ/レッドブル育成)、リチャード・フェルシュフォー(MPモータースポーツ)らを引き連れており、油断を許さない状況が続いていた。 12周目、逆転タイトルに向けて是が非でも前に行きたいハジャルは、続けて7番手ディーノ・ベガノビッチ(ダムス・ルーカスオイル/フェラーリ育成)に仕掛ける。 FIA F2デビュー2大会目(3レース目)のベガノビッチだったが、巧みなラインどりでハジャルを抑え続ける。それに思わずハジャルも「ベガノビッチは人生をかけてブロッキングしてくるよ」と無線を飛ばす場面も。 レース後半を迎えると、タイヤのデグラデーション(性能劣化)の影響で各車ペースが下がる。そんななか、16周目には3番手のコルデールがコースオフする場面もあり、4番手ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)が接近。 ドライバーズランキング3位につけるアーロンは、このレースでボルトレート、ハジャルの前でフィニッシュできなければタイトルへの挑戦権を失うことになることもあり、翌17周目にはコルデールがアーロンに3番手の座を譲った。 18周目、ターン6飛び込みでコルデールとデュルクセンが接触し、デュルクセンは戦線離脱。これで14番グリッドスタートのオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が4番手に浮上し「ラッキーだ」と無線を飛ばすが、そんなベアマンはトラックリミット違反が続き、5秒のタイムペナルティが下ることに。 20周目、ハジャルを引き離したベガノビッチがコルデールをかわし5番手に浮上。6番手に後退したコルデールには、デュルクセンとの接触の原因となったとして10秒のタイムペナルティが課されることに。また、22周目にはタイヤの限界を迎えたコルデールを宮田がオーバーテイクし、宮田は7番手に浮上した。 終盤、2番手ボルトレートはマルティとのギャップを2.2秒まで縮めたが、DRS圏内に入ることは叶わず。抜群のスタートを決めたマルティがFIA F2初優勝を飾った。2位ボルトレート、3位アーロンまでが表彰台に登壇。アーロンは表彰台獲得は叶うも、ここでタイトルへの挑戦権を失うこととなった。 以下、各タイムペナルティ適用により、4位ベガノビッチ、5位ベアマン、6位ハジャル、7位ブラウニング、8位フェルシュフォーまでがポイント獲得となった。 宮田は7番手チェッカーも10秒ペナルティ適用で12位に後退した。レース中はランキング上位勢とも遜色ないレース運び、ディフェンスぶりを見せていただけに勿体無いペナルティとはなったが、それだけに明日のフィーチャーレース(決勝レース2)での快走も楽しみにしたいところだ。 追記:スプリントレース終了後の車検で、暫定3位アーロンの乗る17号車のDRSアクチュエーターのピストンの長さが1ミリ延長され、DRSウイングの開口幅が広がる改造が行われることが判明したため、アーロンにはスプリントレースの失格と、フィーチャーレースのピットレーンスタートという追加のペナルティが下された。これにより、ベガノビッチがデビュー3レース目にして初表彰台を獲得。宮田は11位へと繰り上がった。 続く、フィーチャーレースは日本時間12月8日18時25分(現地時間13時25分)から、タイヤ交換義務を有する周回数33周、もしくは60分+1周で争われる。 196.5点獲得で首位をキープするボルトレートか、5.5点差で追うハジャルか。2024年シーズンのドライバーズタイトル争いは、明日結末を迎える。 [オートスポーツweb 2024年12月07日]