SNS総フォロワー数65万人超、天文物理学者BossBが「間違えること」を奨励する理由
自分の頭で考えられるように育てる
「だから、幼い頃の子育て話の延長になるけど、色々な世界、考え方を紹介して、多角的視点を養い、自分の頭で考えられるように育てることしか親にはできない。子どもがどう育つのか、どういった人生を歩むのかは、親がどうにかできる話じゃないんです。犯罪とか、人を傷つけたりすることは社会で生きる人として間違っている、と子どもたちに教えなきゃいけないけれど、そこだけクリアすれば、何が好きか、何を続けたいかは本人次第」 さまざまな考え方があるし、言語もたくさんあって、得意なことは人それぞれ、ルックスなんて百人百通り。BossBさん自身が19歳で日本を飛び出して世界中を探検し、多視点を持てるようになり、その多様さに救われた張本人だ。 「海外に行けば、必然的に多様性に触れられる。だけど、経済的な事情もあるだろうし、みんながみんな外に行けるわけじゃないよね。まぁ大学生ぐらいになれば奨学金もらったりできるし、行きたかったら自分で行けよって思うけど。たとえ、海外に出ることで初めてアジア人というだけで差別されて、海外が嫌になったとしても、その経験が長い人生ではプラスになると、私は思う」 外国人と触れ合うだけなら、海外に行かずともできる。 「自分の住む町にも、外国人っていっぱいいますよね。そういう、自分と違う人に話しかけてみるとか。女だったら男性に話しかけてみるとか。年上の人に話しかけてみるとか。自分とはちょっと違うからって避けてきた人たちと交流することで、気づきや、新しい視点を得ることができる。そういう機会は、実は身の回りにいっぱいあるような気がします」
グローバル思考に必要なことは
世界じゅうの人と繋がることができるSNSも、そういった交流に使うことができる。 「私が普段からグローバル思考が大切だと話しているのは、そういったいろんな価値観に触れる大切さの話であって、別に英語が話せなきゃいけないという話ではない。 海外留学するにはすごくお金がかかるし、奨学金をもらうには成績優秀じゃなきゃいけないのでそれも大きなハードルがあるし、アメリカももう大学が産業化していて、あそこまで高い学費を払う必要があるのかは疑問です。だから例えば海外で働くとか、バックパッカーで旅をするというのもいいんです。何しろ島国日本から出てみる! SNSにだって多様性があっていい。派手で濃ゆい中年大学准教授が発信する、勉強になるSNSがあってもいいじゃないですか」 BossBさんが発信する多くの動画の最後は、「ピース!」と、カメラに手の甲を近づけて裏ピースするポーズで終わる。 「みんなが無理をせずに、あるがままで幸せに生きる社会にしましょう。今回の記事も、取材をする人、編集をする人がまず輝けて、自分の才能を活かしたものに完成させてください」 BossBという芸名は、ラップなどに使われている英語のスラングをもじったものだそうだ。その、型にハマらず自分の信じた道を歩む、独立した女性という意味を体現して、今日も発信を続けている。
小和野 薫子(ライター)