SNS総フォロワー数65万人超、天文物理学者BossBが「間違えること」を奨励する理由
間違えることを恐れないで
科学も物理も、間違いを繰り返しながら、真理を探求していく。答えはない。 「これが正しい、という唯一の答えは、物理の世界でも分かりません。でも、やったら駄目なこと、これは間違っているということなら分かるから、徐々に答えに近づいていくことはできる」 あらゆることに関して、答えはひとつではない。答えを求めていくなかで必ず新しい問題が発生して、でもまたその問題を解決する過程でどんどん新しい答えに近づいていく、というのが科学のあり方であり、私たちのあり方、というか生き方なのではないかと考える。「答え」は複数で、真実を探究する過程のステップではないかと。 そして、自分で間違えてみないと答えは分からない。もし正解がひとつなら、もうそれ以上の成長はないけれど、答えは過程だから、新しい問題解決を経て、自分を向上させられるし、社会も向上する。 「だけどね、ひとつだけの正解を求める受験産業というのが、日本や韓国、中国などの東アジアでは盛んじゃないですか。それでお金儲けしている大人たちがいて、子どもたちは正解はひとつなんだって、間違えたらやばいじゃんって、そういうふうに洗脳されている気がしますよ。 テストには1個の回答しかない。だから丸をもらうために正解を丸暗記するようになる。じゃあ何のために学校があるんですか。想像力を膨らませて、自分のやりたいことや情熱を見つけるべき時期に、丸暗記に必死になっていることは、私は無駄でしょうがないように感じます」 さらに、BossBさんは日本では言いたいことを言いにくくなっているのではないか、と考える。 「私たちには『自分は、こう思う! 』という発言の自由があるのに、言わない。小学校1、2年生の頃は、『はいはい! 私が僕が! 』ってみんなうるさいぐらい意見を言えていたのに、どんどん社会化されて、大学生あたりになってくるともう何も発言しない。授業をしていても、相手の顔色を見て何となくふわっと、みんなと同じようなことを言う。先生が期待しているだろうと予想する答えを言おうとする」 ではなぜ、みんな言いたいことを言わないんだろうと考えると、周りの目を気にして、間違ってしまったらどうしようと思っているからではないか。正解はひとつという勉強ばかりしてきているからではないか。 「間違えずに、どうやって答えがわかるの? テストには正解がある。でも実社会には正解はないんですよ。異なる意見をぶつけ合って、間違えながらはじめて新しいものが生まれる。つまりプロセスとしての答えが見つかるし、だからこそ今よりなりたい自分に近づいていける。そしてより良い社会を創っていけると思うんだけれども、その土壌がないっていうのは、日本の社会にとってマイナスでしかないと思う」 BossBさんの長男は、大学には進学したくないと言っている。 「私も、学ぶつもりがなかったら大学とか一切行く必要はないと思います。息子が言うのには、学ぶことは好きだけれど、今大学で学ぶ明確な目標はないし、大学という機関で必修科目を無理やり学ばされるのは嫌だと。では、どうやって自分が生きていく術を見つけるのだろう? 大学に進学した自分が歩んだ道とは異なるのでどうなるのか心配になることもありますが、基本息子を信じて見守っているだけです。息子が何か言ってきたら、私にできることなら何でも手伝うつもりですが、息子から言ってこない限りは、私が何か言ったって反発するだけだから」 親の物差しと、子どもの物差しは違う。親が子どもにやらせたいことと子ども自身がやりたいことが一致しない限り、親の価値観を押しつけたら、結局子どもを不幸せにするのではないか。 「結局、その子が幸せじゃなきゃ駄目なんですよ。特にやりたいことがないまま社会に出たとしても、本人がそれで幸せに生きているのなら素晴らしいと思います。今の時代、コンビニで働いたって、贅沢はできないかも知れないけど、食べていける。例えばゲームが大好きで、ゲームをしているときが一番幸せっていう子がいて、その子はコンビニで朝9時から5時まで働いて、そのあと自分の好きなゲームに没頭して毎日生きていけます、ああこの日々がずっと続いて欲しいなぁと言うなら、いいじゃない、それでって思うんです」